研究課題/領域番号 |
19K07760
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
加藤 良規 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (60747210)
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研究分担者 |
金田 陽子 昭和大学, 医学部, 助教 (20837950)
中村 清吾 昭和大学, 医学部, 教授 (70439511)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エンドカン / トリプルネガティブ乳がん / 早期診断 / 血中マーカー |
研究実績の概要 |
我々がおこなった先行研究より、血液中のエンドカンというタンパク質の量がトリプルネガティブ型乳がん患者の再発予後と相関を示すことが明らかとなり、血中エンドカンがトリプルネガティブ型乳がん患者の予後予測を可能とするバイオマーカーとなりうる可能性が考えられた。 そこで本研究では、次の二つについて検討し、血中エンドカンがトリプルネガティブ型乳がんの予後予測のバイオマーカーとしての可能性を追究することを目的として実施した。①免疫不全マウスにヒト由来の乳がん細胞を移植し、一定の大きさになった乳がん原発巣の摘出前後における血中エンドカンの推移を測定し、がんの再発と血中エンドカン量の相関について検討する。②乳がん患者の血液検体におけるエンドカン量を測定し、サブタイプ別分類や様々なパラメータと血中エンドカンとの相関を検討する。 乳がんモデルマウスの実験では、無胸腺ヌードマウスにおいて、乳がん原発巣摘出後に血中エンドカン量の低下が観察された。一方、免疫を極度に落としたNSGマウスでは、発光イメージングにより原発巣摘出時に既に他所への転移が認められたことから、血中エンドカン量に関しマウス間で個体差がみられた。臨床データに関しては、乳がん患者におけるトリプルネガティブ型の割合が少ないこともあり、トリプルネガティブ型の検体を思うように収集できなかったものの、Luminal型の乳がん患者ではエンドカン量とステージ分類にある程度の相関が認められた。 以上のことから、トリプルネガティブ型に限らずエンドカンが乳がんの悪性化に寄与していることが考えられ、エンドカンと乳がんの悪性化についてさらに検討していきたい。またトリプルネガティブ型乳がん患者の予後予測バイオマーカーとしての利用には、今後トリプルネガティブ型乳がん患者の検体をさらに集めて解析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度は倫理委員会での承認に時間を要し、乳がん患者からの血液検体を測定・解析することがほとんどできなかったが、その分、乳がんモデルマウスを使用した実験を進めることができていた。当該年度には乳がん患者からの血液検体も定期的に測定・解析することができたため、当初の計画以上に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
乳がん患者からの血液検体の測定・解析結果をもとに、血中エンドカン量と相関するパラメータを探り、患者予後との関係を検討する。さらにヒト由来トリプルネガティブ型乳がん細胞株を使用し、細胞培養系の実験により、トリプルネガティブ型乳がん細胞の脳転移とエンドカン発現との関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術大会参加のために計上してた経費を使用しなかったこと、および血液検体採取を含めたエンドカン測定のために計上していた経費が予定よりもかからなかったことが理由として挙げられる。 使用計画としては、血中エンドカン測定のためのELISAキットの購入に充てる予定である。
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