研究課題
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)にはBRCA1/BRCA2以外にもHR関連遺伝子群が多数存在し、それらの遺伝子のバリアントは病的意義不明(VUS)であることが多く、HR関連遺伝子変異保持者に生じた腫瘍が、BRCA1/2変異保持者の腫瘍と類似の表現型を示す“BRCAness”、を呈するのかは不明である。本研究の目的は、相同組換え修復(HR)関連遺伝子にゲノム異常を認める乳がんの『遺伝型』と、臨床像・ゲノム全体の変化などの乳がんの『表現型』の相関を検討し、HR関連遺伝子のVUSの病原性再評価と、乳がんのPARP阻害剤などの薬物療法の効果予測を行うことを目的としている。当該年度は、自施設174検体の全エクソン解析を行い、BRCA陽性検体を元にBRCAness予測スコアを機械学習手法により構築した。更にTCGAサンプル421検体のゲノムデータを用いて、本予測モデルの精度検証を確認した。HR関連遺伝子で生殖細胞系列にVUSが認められたサンプルに対し、BRCA予測スコアを元に表現型から遺伝型の評価を行いVUSの再分類を行った。本BRCAness予測モデルを使用したバリアントの病原性判定を行う新しいアプローチ方法について論文で報告(Yoshida R, Ueno T, Mori S. et al. Pathogenicity assessment of variants for breast cancer susceptibility genes based on BRCAness of tumor sample. Cancer Sci. 2021 Mar;112(3):1310-1319. doi: 10.1111/cas.)し、更に日本乳癌学会学術総会(機械学習の手法を利用したBRCAness予測モデルに基づく遺伝性乳がん原因遺伝子の病原性変異評価法の開発 2021年7月1日)にて学会発表を行った。
3: やや遅れている
本研究の基礎研究に関する成果報告は論文作成、学会発表と既に行ったが、まだ本研究の臨床面での、“遺伝性乳がんの遺伝型と表現型の相関”について、の研究内容が残っており、2022年度に研究遂行する予定である。
“遺伝性乳がんの遺伝型と表現型の相関”の臨床面での報告について、既に解析は終了し、現在論文執筆中である。2022年度中に、論文報告、学会報告を予定している。
本研究の基礎的な研究は予定通り遂行したが、臨床的な側面に関する研究は、臨床情報の収集に時間がかかり、当該年度内に終えることが出来なかったため、次年度にて報告する予定である。データ解析、英文校正、論文発表、学会発表を中心に使用することを予定している。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Cancer Science
巻: 112 ページ: 1310-1319
10.1111/cas.14803