研究実績の概要 |
血管内皮細胞におけるHEG1の動態を明らかにするために、SKM9-2と糖鎖非依存的な抗HEG1抗体(V8F11)を用いてHEG1の発現動態の解析を行った。HUVECを血清存在下、または無血清培養下で培養し、成長因子/サイトカイン(VEGF、TGF-β、bFGF、EGF、PDGF、TNF-α、IL-4)刺激を行ったが、フローサイトメーター解析ではHEG1発現量の増減は観察できず、二つの抗体の反応性も違いは生じなかった。また、培養シャーレの接着基質(コラーゲンIコート、コラーゲンIVコート)や、細胞密度の検討も行ったが、大きな差異は認められなかった。
次に、HEG1の糖鎖修飾酵素について知見を得るため、HUVECと中皮腫細胞株におけるO型糖転移酵素GALNTの網羅的発現解析を、定量PCRを用いて行った。しかし、SKM9-2の反応性と明確な相関のあるGALNT遺伝子は見いだされなかった。また中皮腫で高発現しているGALNTのうち、GALNT2, GALNT7, GALNT11の発現をesiRNAで抑制するとSKM9-2の反応性は減弱したが、HUVECのGALNT2, GALNT7, GALNT11の発現とSKM9-2の反応性に相関は見られず、SKM9-2反応性の責任酵素の特定は出来なかった。
免疫共沈法、および近位依存性ビオチン標識によりHEG1と会合する分子の解析を行った。免疫共沈法によりHEG1と細胞骨格タンパク質が会合している事が示唆され、近位依存性ビオチン標識によっても細胞骨格関連分子が同定された。従って、HEG1は細胞形態の形成に関与する分子であると考えられた。
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