研究課題/領域番号 |
19K07776
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今野 大治郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (00362715)
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研究分担者 |
立花 太郎 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80311752)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モノクローナル抗体 / 細胞免疫 |
研究実績の概要 |
免疫試験の抗原として用いるマウス人工グリオーマ幹細胞(Glioma-Initiating Cell: GIC)(NSC61L)の準備、さらに予備実験としてこれらGIC細胞を抗原としたラット腸骨リンパ節法によるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの樹立を試みた。また、NSC61L細胞に由来する脳腫瘍形成能の有無により選択されたNSC61L細胞由来GICおよびnon-GIC(6Bおよび8B:GIC、9Gおよび10A:non-GIC)の培養を進め、GICに特異的に反応する抗体をスクリーニングするための基盤整備を行った。その結果、生細胞FCM解析を用いた1st スクリーニングにより、GIC細胞を用いた生細胞染色において強い反応を示す1クローンを得た(clone 5A10)。5A10抗体を用いたGIC細胞の免疫染色では、全細胞の細胞膜表面に染色シグナルが認められた。興味深いことに、これらの染色は全細胞において均一ではなく、一部の細胞で非常に強いシグナルが認められた。これらの結果は均一と考えられていたGIC集団においても何らかのサブタイプが存在することを示唆しており、現在CD133など他のがん幹細胞マーカー分子群との発現相関性を解析している。また膵臓がん幹細胞(KMC細胞)を抗原に用いたラビット1細胞組換え抗体作製法の整備を進め、KMC細胞を特異的に認識する複数の組換えモノクローナル抗体を得ることが出来た。現在これらの抗体が認識する抗原の同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GIC細胞を抗原としたラット腸骨リンパ節法によるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの樹立が成功し、本研究に用いるGIC細胞が細胞免疫法に適していることが示された。またヒト膵臓がん幹細胞を用いたラビット組換えモノクローナル抗体作製についても計画通り実施し、複数のモノクローナル抗体を得ることが出来た。これらの結果は、1細胞組換え抗体作製法を含む細胞免疫によるラットおよびラビットモノクローナル抗体作製法の確立が順調に達成出来ていることを示している。
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今後の研究の推進方策 |
現在マウス人工グリオーマ幹細胞(NSC61L)の免疫により得られたモノクローナル抗体産生クローン(clone 5A10)のハイブリドーマ樹立を試みており、樹立後は精製抗体を用いた抗原分子の同定を試みる予定である。またこれらの予備試験から、マウスGIC細胞が細胞免疫法に適していることが示されたことから、当初の目的であるラビット組換えモノクローナル抗体の取得を目指し、免疫およびスクリーニングの準備を進めている。加えてヒトグリオーマ幹細胞を抗原に用いたラットおよびラビットモノクローナル抗体作製に向けて免疫・抗体作製の準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
グリオーマ幹細胞を用いたラットモノクローナル抗体作製および膵臓がん幹細胞を用いた1細胞ラビット組換え抗体の作製が順調に進み、興味深い染色像を示す複数のモノクローナル抗体産生クローンが得られた。そこでこれら抗体の抗原同定を重点的に進めるため、研究計画内での実施順序を変更し、ヒトグリオーマなど各種免疫予定細胞の準備および免疫の実施を次年度以降に変更した。その結果次年度使用額が生じた。
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