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2020 年度 実施状況報告書

1細胞ラビット組換え抗体作製技術を用いた新規がん幹細胞表面マーカー分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K07776
研究機関九州大学

研究代表者

今野 大治郎  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (00362715)

研究分担者 立花 太郎  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80311752)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん幹細胞 / グリオーマ / グリオブラストーマ / 膠芽腫
研究実績の概要

本年度は昨年度に引き続き、マウス人工グリオーマ幹細胞(Glioma-Initiating Cell: GIC)を抗原としたラット腸骨リンパ節法により樹立したハイブリドーマの産生モノクローナル抗体の性状解析を進めた。具体的には、樹立したハイブリドーマ産生抗体を用いたヒトGICの選択的除去など抗体医薬品への応用の可能性を検証するため、昨年度に樹立に成功したクローン5A10抗体のヒトGICへの反応性を検証した。その結果、残念ながら5A10抗体のヒトGICへの反応性は認められなかった。我々のこれまでの解析から、5A10抗体は発生過程におけるマウス神経組織において神経幹細胞を選択的に認識することが明らかとなっており、これまでに複数の研究が示唆しているGICと神経幹細胞の共通性を解明するうえで強力なツールになることが期待される。しかしながら、前述の通りヒトGICへの反応性は抗体医薬品開発を含む臨床応用には欠かせない特性となることから、再度マウスGICを用いたラット腸骨リンパ節法による新規モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの樹立を試みた。その結果、新たにマウスGICに高選択的に反応し、non-GICへは全く反応性を示さない新たなクローン5E4の樹立に成功した。さらに5E4抗体はヒトグリオーマ由来細胞株においてもGICに顕著な反応性を示す一方、non-GICへの反応性は認められなかった。これらの結果は、5E4抗体がグリオーマ幹細胞をターゲットとした抗体医薬品としての高いポテンシャルを有していることを示唆している。現在、これらの抗体が認識する抗原の同定を進めるとともに、抗体のADCC活性を利用した悪性グリオーマ幹細胞の選択的殺傷の可能性をin vitro及びin vivoの両面から検証している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスGIC細胞を抗原としたラット腸骨リンパ節法による新たなモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの樹立に成功し、さらにそれら抗体がヒトGICに高選択的に反応することを明らかにした。これらの結果は、樹立抗体がヒトグリオーマ幹細胞をターゲットとした抗体医薬品としての高いポテンシャルを有していることを示唆しており、当初の計画以上に進展していると判断出来る。しかしながらコロナ禍の影響により、本研究課題のもう一つの実験計画であるラビット1細胞抗体単離法を用いた解析を複数回実施することが困難であった。そこで本年度は前述の新規ラットモノクローナル抗体の樹立・性状解析を中心に進め、計画全体の進捗具合を合わせて判断することで、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

本年度に樹立に成功したラットモノクローナル抗体5E4の性状解析及び抗原同定を進め、5E4抗体の抗体医薬品としての可能性を評価する。また、5E4抗体を含めこれまでに樹立に成功した抗体は生細胞の表面抗原を認識することから、エクソソームを含む細胞外小胞上に存在する抗原の認識も理論的には可能である。そこで樹立抗体がGIC由来の細胞外小胞を認識可能かどうかを検証し、血液や尿などの体液中に存在する細胞外小胞の検出を基盤としたがんの早期診断法への応用の可能性を探る。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響によりラビット1細胞抗体単離法の実施に必要な受託解析を実施することが困難になったため、実験計画の全体的な見直しを行い、当該実験を次年度に実施することとしたため予算の変更が生じた。

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公開日: 2021-12-27  

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