研究課題/領域番号 |
19K07781
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
安藤 美樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10424251)
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研究分担者 |
安藤 純 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60348943)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | キメラ抗原受容体T細胞 / 小細胞肺がん / GD2-CAR / T-iPSC / 若返りCTL |
研究実績の概要 |
小細胞肺がんは肺がんの中で最も進行が速く、多くの患者は再発し治療抵抗性を示す。5年生存率は7%以下と極めて予後不良にも関わらず、新規治療開発から長らく取り残されている。CD19抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法はB細胞性急性リンパ性白血病に対し80%以上の寛解率を得ることができ、本邦でも薬事承認されたが、固形がんに対するCART療法は腫瘍微小環境の問題もあり期待した抗腫瘍効果が得られず、また副作用も懸念である。申請者らは疲弊したCTLをiPSC技術で若返らせることに成功後、もとのCTLより強い腫瘍縮小効果と生存期間延長をin vivoで証明した。本研究では小細胞肺がんの多くが細胞表面にGD2を発現することに着目し、先行技術の応用によりiPSCにGD2-CARを遺伝子導入後、若返りGD2-CARTを分化誘導し、小細胞肺がんに強力な治療となりうるか検証する。また、副作用発現時もしくはCARTが不要になった場合に体内から消失できるよう、自殺遺伝子細胞死誘導システムを備え、安全性と有効性の両方を担保できる治療の基礎開発を行う。 本年度はGD2-CARを遺伝子導入するためのT-iPSCを健常人ドナーより樹立した。その後レンチウイルスGD2-CARベクターを産生した。今後産生したGD2-CARをT-iPSCに遺伝子導入する予定である。また、同意いただいた患者ドナー胸水より分離したGD2陽性小細胞肺がん細胞を長期培養し、継代することに成功した。今後GD2-CAR-T-iPSCよりGD2-CART細胞を分化誘導して機能評価を行う予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レンチウイルス由来GD2-CARプラスミドが完成しており、T-iPSCも樹立できた。今後は遺伝子導入を行った後にT細胞分化を開始し、抗腫瘍効果を確認する。概ね予定通りであり計画は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は樹立したT-iPSCにレンチウイルス由来GD2-CARを遺伝子導入後、T細胞に分化誘導を行い若返りGD2-CARTを誘導する。その後樹立した小細胞肺がん細胞株を含む複数のGD2陽性細胞株を用い、抗腫瘍効果をin vitro, in vivoで確認する予定となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入の際に168円の端数が出てしまったので、次年度の消耗品購入の際に再調整する予定。
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