研究実績の概要 |
近年、消化器癌は増加し死亡率の上位5位内に大腸癌、胃癌、膵臓癌、肝癌がみられる。肝転移を伴う消化器癌は通常手術は行わず化学療法を行う。その効果判定には、造影CT,造影MRIを用いることが多い。その際、化学療法前後の腫瘍径が効果判定の基準になる。しかし実際は、腫瘍細胞壊死の程度(viability)が最も重要である。PET-CTは腫瘍の viabilityを判定する検査として用いられることが あるが微少な病変は検出しがたく偽陰性が存在するので、現在のところ腫瘍のviabilityを正確に判定できる検査は開発されていない。マイクロバブル(ソナゾイド)を用いた造影超音波検査は、造影CT、造影MRIとともに肝腫瘍の診断に用いられている。造影CT、造影MRIに比べ、簡便な検査で腎機能が低下している患者でも使用できる。また、CTのように被爆しなくてよい。肝細胞癌において、ソナゾイドを用いた造影超音波 検査がVEGF阻害剤であるsorafenibの治療効果を評価 するのに有用であったとの報告がある (Eric Frampas et al. European Journal of Radiology,2013)。申請者らは,肝細胞癌に おいてソナゾイドを用いた造影超音波検査の腫瘍造影パターンにより肝切除後の予後予測が可能であることを報告してきた。腫瘍は化学療法により壊死すると栄養血管が細く少なくなる。それに伴い、腫瘍壊死に陥ると腫瘍への流入血流量が減少する。よって、腫瘍が壊死すると造影超音波 検査の腫瘍造影パターンの変化と造影効果の低下が予測される。 本研究ではこれらの点を踏まえ、造影超音波検査の化学療法による腫瘍造影効果の変化とviabilityとの関連性を明らかにし、新しい腫瘍viability判定法を開発する。
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