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2020 年度 実施状況報告書

ストレス下で心を平穏に保つための脳神経回路

研究課題

研究課題/領域番号 19K07799
研究機関鹿児島大学

研究代表者

城山 優治  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90456195)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードGRP / 情動 / ストレス / 神経活動操作
研究実績の概要

本研究は、研究代表者が2015年に採択された科学研究費補助金(研究課題番号:15K01848)を基に進めた成果を基にしている。GRP(gastrin releasingpeptide)遺伝子の欠損マウスは、拘束ストレスを負荷された直後においては恐怖学習が増大する。また、その様なストレス下において、扁桃体外側核の近傍に位置する脳領域Aが、GRP遺伝子依存的に活動することを見出している。つまりGRPはストレス下において脳領域Aを刺激することにより過度な情動表出を抑制すると仮説が立てられる。
脳領域Aに特異的な神経活動操作を達成するために、2019年度までに、扁桃体外側核特異的Cre発現マウス(GRP-Cre)、抑制性ニューロン特異的Cre発現マウスGad2-Cre)を入手し交配を行った(GRP-Cre/Gad2-Cre)。
2020年度は、AAVベクターの作製および脳領域AへのAAV導入のための条件検討を行った。AAVベクターは、光照射により神経活動を抑制させるアーキロドプシンT(ArchT)にmCherryを繋いだ遺伝子を挿入したベクターを作製した。また薬剤特異的に神経活動抑制を可能にするDREADD (Designer receptors exclusively activated by Designer Drugs)であるhM4Di にmCherryを繋いだ遺伝子を挿入したベクターも作製した。また、hM4Diとは逆に薬剤特異的に神経活動を誘導するhM3Dqも用いた。これらのベクターはいずれもCre発現領域に遺伝子発現が消失するため、脳領域Aに特化した神経活動操作が可能になる。並行して、GFP発現型のAAVを用い、脳領域Aを狙ったInjectionの練習を進めた。比較的小さい脳領域であるため、0.3マイクロリットル程度の微量なAAV導入スキルが必要であることを再確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

この2年で本実験遂行のための状況は整った。研究以外のエフォートにも慣れてきたため、最後の1年で研究目的を達成する。

今後の研究の推進方策

情動表出の解析においては厳密な時間特異性は必要としないため、まず光ファイバーの導入が不要なDREADD遺伝子導入型のAAVを用いた神経活動操作から開始する予定である。まず、AAVを用いてhM4Di-mCherry遺伝子を GRP-Cre/Gad2-Creマウスに導入する。領域特異的なAAV導入スキルに加え、Cre特異的にhM4Di-mCherry発現が消失するシステムであるため、領域Aに特異性の高い神経活動抑制が見込まれる。このマウスにhM4Diのアゴニストであるクロザピンを投与し、領域Aの神経活動を抑制させる。このマウスに拘束ストレスを負荷し、その20分後に恐怖学習を行う。仮説通りであれば、この脳領域の神経活動抑制により過度な恐怖学習を示すと予想される。解析後は脳を固定し、実際に神経活動が抑制されていることを抗c-Fos抗体を用いた免疫組織染色で確認する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度はマウス飼育のための費用が予想より少なかったため。最終年度にマウス飼育費用が増大すると見込まるため、その為の費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cooperation of LIM domain-binding 2 (LDB2) with EGR in the pathogenesis of schizophrenia2021

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi T, Kiyama Y, Arima-Yoshida F, Kadota M, Ichikawa T, Yamada K, Watanabe A, Ohba H, Tanaka K, Nakaya A, Horiuchi Y, Iwayama Y, Toyoshima M, Ogawa I, Shimamoto-Mitsuyama C, Maekawa M, Balan S, Arai M, Miyashita M, Toriumi K, Nozaki Y, Kurokawa R, Suzuki K, Yoshikawa A, Toyota T, Hosoya T, Okuno H et al.
    • 雑誌名

      EMBO Molecular Medicine

      巻: e12574 ページ: e12574

    • DOI

      10.15252/emmm.202012574

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウスにおける全身麻酔下手術による扁桃体の神経活動亢進と記憶障害2021

    • 著者名/発表者名
      城山優治、中原真由美、大江将軍、坂口茜、黒江那彩、上村裕一、奥野浩行
    • 学会等名
      第93回日本生化学会大会
  • [備考] 鹿児島大学医歯学総合研究科 生化学・分子生物学分野

    • URL

      https://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~biochem2/

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公開日: 2021-12-27  

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