我々はよい出来事やわるい出来事を経験するとその原因を推測し自身や他者またはその他の存在に帰属する。社会的原因帰属の神経機構を調べるために、マカクザルが他の同種個体と共に行動する状況のもとで自己や他個体が関わる出来事の原因を判断し、自分たちがおかれた原因構造の理解とその更新を課する実験系を構築し、行動実験を行った。サルは自身の判断を通して原因構造の理解やその更新ができるという結果と共に、他個体の判断を見ることによる原因構造理解の促進や、出来事に関わったのが自己・他個体・仮想的他者のいずれなのかによる判断傾向への影響というかたちで、サルによる原因帰属の個体間相互作用を示唆する結果を得た。
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