研究課題/領域番号 |
19K07802
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
岡 牧郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 診療部長 (60432647)
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研究分担者 |
宮崎 育子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (40335633)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 発達性ディスレクシア / 遺伝子 / 発達障害 / 限局性学習症 |
研究実績の概要 |
限局性学習症は神経発達症(発達障害)の1つであり、発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア developmental dyslexia:以下DD)はその主要型である。我が国におけるDD研究は近年多く報告されているが、多くはその病態に関係する認知機能や神経画像の研究が主体である。欧米諸国を中心にこれまでDDの責任遺伝子の報告はあるが、我が国ではこれまでSugita, et al(2011)の報告以外には我々が知る限り存在しない。 本研究は、日本語話者のDD患者において、病因となる遺伝子変異の有無を明らかにすることを目的としている。また、日本語話者のDD患者においても、欧米諸国においてこれまで報告された遺伝子変異がみられるのか、また、日本語話者に特異的なDDの遺伝子変異が存在するのかを明らかにしたい。さらにはこれらの結果を踏まえて、遺伝子変異の有無によるDDの臨床像の違いを得られた臨床データ、検査データを用いて検討する。この研究は日本で初めての取り組みであり、研究成果はDDの病態生理に関する研究の進歩やDDの治療教育に貢献できると考える。 方法としては、岡山大学病院小児神経科を受診しているDD患者およびその家族、ならびに定型発達児を対象として、口腔粘膜からDNAを抽出してマイクロアレイを行っている。特に欧米諸国で報告されている候補遺伝子(DYX1C1,DCDC2,KIAA0319,ROBO1など)におけるSNPを調べ、対照群とともに遺伝子解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染爆発により、患者との接触や検体採取の制限、研究機関・施設への立ち入り制限、感染拡大地域(東京)から岡山への渡航制限を受けた。また、緊急事態宣言発令などにより、円滑に研究を遂行することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定からは大幅に採取検体数が減少した。全国的に新型コロナウイルスが蔓延しているため、今後検体数を増やすことは困難と考える。 現在、一定数の患者の検体は採取できており、遺伝子解析が行われている。現在はその解析結果について共同研究者と討議中である。結果については関連学会での報告、英論文への投稿などを予定したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延に伴い、当初予定していた検査数が確保できなかった。しかしながら一定数の検体採取、およびマイクロアレイ検査は行うことができたため、その費用は次年度の予算に使用される。
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