昨年に比較して病院内に設置されているスキャナの使用が可能になった事より、被験者を増やすことができた。遺伝子多型についてはコロナ環境下のPCRを優先させるために使用を控え、代わりに経頭蓋直流電気刺激装置(tDCS)を用いて研究室内のみで行える内容にした。fMRIスキャナ内での課題から得られた、意思決定後の自信を反映していると考えられる腹内側前頭前野領域をターゲットとし、新規被験者に対して陽極刺激あるいは陰極刺激を行いながらfMRIと同様の課題を行わせ、自信の増大あるいは減少が起こるかについて検討した。 結果、陽極刺激をした群ではシャム条件に比較して意思決定に対する自信がやや上昇し、一方で陰極刺激をした群ではシャム条件に引き合くして自信がやや減少する傾向が見られた。またこの傾向は、自分の意思決定が少数派と多数派の場合においてより強くなることが示された。このことから、腹内側前頭前野領域が社会的環境下における自信の強弱を調整していることが示唆された。 不確実性要素として課題に取り入れたリスク(正答の場合は報酬を与える一方、不正解の場合は罰金を課す)に関しては、被験者全体としてリスクが高い(報酬/罰金の金額が増加する)ほど反応時間と正答率が増加する傾向が見られ、課題に対して慎重に取り組むことが示唆された。また同様にリスクが高い方が社会的環境にも影響を受けやすい(少数派の場合に自信が下がり、多数派の場合に自信が上がる)傾向がやや見られ、社会的環境下における自信は不確実性要素に大きく影響を受けることが示された。
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