今後の研究の推進方策 |
今年度以降は、研究代表者の異動に伴う研究環境の変化を踏まえて、これまでの研究で明らかにしたAOVPの機能に対する関与が想定されている海馬において、モノアミン(特にドパミン)神経伝達が記憶強化に果たす役割の解明を行う。海馬から前嗅核への投射は、嗅覚を介した社会的認知やエピソード記憶に働くことがこれまでに示されている(Kim, J.C. et al., Nat Commun. 9:2735,2015)。また海馬には腹側被蓋野と青斑核からのドパミン神経の投射があり、どちらも記憶の保持に関与することが示されている(Dupret, D. et al., Nat Neurosci. 17:1658-60,2014; Morris, R.G.M. et al., Nature, 537,357-62,2016)。そこで今年度は、社会性記憶を含む快情動の記憶形成と保持を評価する場所嗜好性条件づけ(CPP)の行動実験系をマウスを用いて新たに立ち上げ、快情動によるエピソード記憶の強化にドパミン神経が果たす役割の解明に取り組む。
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