研究課題/領域番号 |
19K07808
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
細川 まゆ子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70582013)
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研究分担者 |
岩崎 雄介 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (10409360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フッ素 / 発達機能障害 / 行動試験 / 自閉症スペクトラム症 / 神経伝達物質 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】フッ素は神経毒性物質として懸念されており、地下水中にフッ素を多く含む水を摂取している国やフロリデーションが実施されている国では、小児の脳の発達に影響が及ぼすことが示唆されている。本研究では、胎児期のマウスにフッ素濃度15ppmおよび30ppmに設定した飲料水を摂取させ(各群10匹)、成熟期の行動と脳の神経伝達物質への影響を検討した。【研究の結果】オープンフィールド試験におけるグルーミング頻度は、対照群に比べフッ素曝露群で増加したことから(15ppm;p<0.05、30ppm;p<0.001)、フッ素曝露によって不安を引き起こしたことが示唆された。また、バーンズ迷路では、5日間のトレーニングとプローブテストで逃避箱に到達するまでの時間とエラー回数が対照群に比べ、フッ素曝露群で増加したことから(15および30 ppm;p<0.01)、空間記憶障害が示唆された。神経伝達物質については、小脳では、グルタミン酸は対照群に比べ曝露群で有意に低かった(15および30ppm;p<0.01)また、グルタミン酸の低下は、オープンフィールドでのグルーミング頻度の増加(p=0.02)、平均速度の低下(p=0.002)、バーンズ迷路のプローブテストでのエラー回数の増加(p=0.025)、および逃避箱到達時間の遅延(p=0.031)と関連していた。中脳では対照群と比較して、15ppm群ででノルアドレナリンが有意に低下し(p<0.05)、バーンズ迷路でのエラー回数が増加した(p=0.042)。本研究の結果から、胎児期に低濃度のフッ素曝露によって、発達機能障害が起こることが示唆された。本研究の結果については、第91回日本衛生学会学術総会で発表済みあり、現在雑誌に投稿中である(論文リバイス)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度の研究推進方策は「これまでのデータについて学会発表と論文投稿を行い、神経伝達物質と各行動試験との関連について検討を行う。F1とF2についての比較も行う」としていたことから、行動と神経毒性についての関連について検討し、学会発表および論文投稿を行ったが、F1とF2マウスについての検討および学会発表・論文投稿ができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
F2マウスの行動試験は既に終了している。令和6年度はF2マウスの神経伝達物質の測定を行い、F1とF2マウス間で比較を行う予定である。また、自閉症スペクトラム症は発達期から生じていることが考えられるため、F1マウスの4-6週齢での行動試験および神経伝達物質の測定と自閉症スペクトラムに関連するタンパク質の測定を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の延長申請を行ったため。
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