本研究は、ヒトに頻繁にみられる「場のリズムに意図せずつられてしまう(自発的同期)」という現象の神経機構を探るために、ニホンザルをモデルとした研究が可能であることを示した点で意義が大きい。これまでにも同様の試みは存在したものの、論文化に至ったものは少なく、いずれも神経活動の計測には至っていない。これは、「つられる」場面を生む条件として、動物の注意を対象刺激に長時間向け、同時に刺激と関係なく運動を行わせるという、動物にとって負荷の高い状況が必要であったためと考える。本研究においてニホンザルにおける研究方法が確立したことで、今後現象の神経機構に関する解明が進むことが期待できる。
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