研究課題/領域番号 |
19K07815
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
澤井 摂 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10400962)
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研究分担者 |
佐藤 守 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20401002) [辞退]
桑原 聡 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70282481)
森 雅裕 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (70345023)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ギラン・バレー症候群 / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
現在、脱髄型ギラン・バレー症候群(GBS)の免疫標的分子は不明であるが、シュワン細胞の細胞膜に発現する蛋白質が標的抗原分子として有望であるという知見から、我々はこれまでにプロテオーム解析による検討を行い、サイトメガロウイルス(CMV)感染後の脱髄型GBS患者の血清中に、moesinに対する自己抗体(抗moesin抗体)の存在を示した。 本研究ではその成果を推進して、脱髄型GBSの標的抗原分子を確定し、発症機序を解明することを目的とした。そのために、moesin蛋白質とCMV感染細胞抗原の分子相同性を示し、さらに能動免疫により疾患モデル動物を樹立して解析することで、病態に即した新規治療法の開発を目指す。 患者血清中の抗moesin抗体の測定は、これまでに、千葉大学脳神経内科で保管されるGBS 症例を対象に行ったが、CMV感染後の脱髄型GBSの症例数は少数であることから、多検体での検討が必要であった。GBSは、本邦で人口10万人に対し1.15人と非常に少ない疾患であるため、症例数を増やすには一施設だけの症例数では限界があり、Japanese GBS outcome study (JGOS)に申請して、多症例のGBS 患者の検体の提供を受け、抗moesin抗体の測定を行なった。 分子相同性の解析については、抗体陽性の検体を用い、分割された合成moesin蛋白質との抗体結合部位の解析を開始した。患者の抗体は多クローン性であるため、抗体認識配列の決定は少数例では困難であることが分かった。今後、症例数を増やすことで解析していくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度にあたるが、始めにGBS多症例の検体を用い、血清中の抗moesin抗体の測定を行なった。JGOS運営委員会に申請を行い、GBS検体の提供を受け、56検体について合成moesin蛋白質を用いたウエスタンブロッティングを行い、複数の陽性検体を検出した。現在、患者の先行感染についてウイルス抗体価を調べることでCMV感染検体の検出を行うなど、患者背景の調査を行なっている。 また、能動免疫による疾患モデルマウスの樹立を目指し、使用する抗原を検討した。患者血清中の抗moesin抗体が認識する箇所を能動免疫の抗原として使用する予定で解析を行なっている。患者の抗体は多クローン性であることから、症例数が少ないと抗体認識配列の決定は困難であることが分かった。現在、症例数を増やし解析している。
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今後の研究の推進方策 |
分子相同性による自己免疫疾患の発症機序の解明には、(1) 感染と疾患の疫学的関連、(2) 自己反応性T細胞または自己抗体の存在、(3) 微生物とヒト分子の相同性、(4) 標的分子の感作による動物モデルの樹立、の4条件を示す必要がある。これまでに(1)はCMV感染とGBSについて疫学的関連が示されており、(2)については、これまでの検討でCMV感染後発症のGBS患者血清中に抗moesin抗体が存在することを示した。今後は、(3)と(4)の証明を念頭に研究を推進する。まずは、ペプチドアレイなどを用いて抗体認識部位を明らかにし、分子相同性について検討を行う。また、moesin蛋白質を用いた能動免疫による疾患マウスモデルを作製し解析することで(4)を示す方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者血清中の自己抗体の認識配列の探索に使用する予定であるが、本年度はまず予備的な実験より開始したため、次年度使用額が生じた。次年度は予定通り、抗体標的配列の探索のため、合成蛋白質、合成ペプチドの作製のために用いる。
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