研究課題
これまでのプロテオーム解析を用いた我々の検討から、サイトメガロウイルス感染後の脱髄型ギラン・バレー症候群の自己抗体の標的分子は、moesin蛋白質であることが示唆されている。moesin蛋白質のアミノ酸配列上で自己抗体の認識部位が分かれば、診断キットの開発につながるだけでなく、エピトープの配列で作製した合成ペプチドを動物に免疫することで疾患モデルの作製が可能となり、病態の解明に近づくと考えられる。抗moesin抗体陽性のサイトメガロウイルス感染後の脱髄型GBS患者3症例の血清を用い、患者血清中の抗moesin抗体が認識するmoesinのアミノ酸配列上のエピトープを解析した。解析にはペプチドアレイを用い、重複配列のある15残基ずつに分割した合成ペプチドに対する反応を解析することで、結合配列を絞り込みエピトープ配列を決定することとした。3症例全てにみられるエピトープはなかったが、2症例ずつに共通する2つの候補ペプチドが同定された。そして、候補ペプチドが真のエピトープであるか判定するために、同定したエピトープ配列の合成ペプチドを用いてELISAを作製し、既にmoesin合成蛋白質を用いてウエスタンブロット法で抗moesin抗体を検索済みの多検体を用いて解析した。1つのペプチドについては測定系の構築が困難だった。もう一方のペプチドはmoesin合成蛋白質を用いたウエスタンブロット法と似た結果であったため、現時点では、これが病態に関わる真のエピトープかは明らかでなかった。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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