研究課題
基盤研究(C)
LRRK2はパーキンソン病(PD)の主要な病因タンパク質であり、細胞内でRab8やRab10などのRab GTPaseをリン酸化するキナーゼである。PDにおいてLRRK2の異常活性化が示唆されていることから、その活性調節機構について解明を試みた。本研究において、LRRK2のRabリン酸化活性は細胞へのリソソームストレス負荷により上昇すること、その活性化にRab29など複数の調節因子が関わること、LRRK2の活性化がPD脳内に蓄積する病因タンパク質αシヌクレインの細胞外放出を促すことを見出した。
分子神経病理学
LRRK2の異常活性化の抑制はパーキンソン病の新規治療戦略として有望と考えられるが、本研究から、LRRK2活性化に関わる制御因子や経路が明らかになったことで、それらの因子も創薬標的になりうると考えられた。学術的には、LRRK2を中心とした新規のリソソームストレス応答機構とその制御メカニズムを見出したことで、細胞の恒常性維持機構に対する新たな理解が得られた。