研究課題/領域番号 |
19K07824
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 太郎 熊本大学, 病院, 特任教授 (90381003)
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研究分担者 |
増田 曜章 熊本大学, 病院, 助教 (50464459)
植田 光晴 熊本大学, 病院, 講師 (60452885)
三隅 洋平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80625781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳アミロイド血管症 / トランスサイレチン / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
プロテオミクス解析法の発展により、プレパラート上の標本から、レーザーマイクロダイセクション(LMD)により関心領域を採取し、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析器(LC-MS/ MS)による解析で、蛋白質を同定することが可能となり、我々は本手法によるアミロイドの解析法を確立した。LMD-LC-MS/ MS手法により、我々が疾患概念を提唱したY114C型やV30M型遺伝性ATTR脳アミロイド血管症患者の剖検脳組織においてアミロイドを採取し、網羅的解析によりアミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイリング行い、アミロイド沈着機構を規定する因子を探索している。これまで、ATTR、脳アミロイド血管症を含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施した。 現在、脳血管に沈着したアミロイドに対するプロテオミクス解析において同定された共存蛋白質において、高濃度に存在する蛋白質や、正常血管と比較して特異的に存在する蛋白質を探索中である。 また、候補蛋白質に対する特異抗体を用いて、剖検脳組織の免疫組織化学検査、ウエスタンブロット解析により、LMD-LC-MS/MS解析の結果を検証も行っている。これら結果より、候補蛋白質がアミロイド形成や組織変性に対して、促進因子か、抑制因子か検討する。 さらに、本症患者における中枢神経症候、神経放射線学解析も進行中である。 これまで、ATTRを含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施できている。昨年度は英語論文をはじめ、国際学会、国内学会総会で発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、ATTRを含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施できている。昨年度は以下の英語論文をはじめ、国際学会、国内学会総会で発表することができた。Yamashita T, et al. Transthyretin amyloid-related cerebral angiitis after liver transplantation. Amyloid. 2019;26(sup1):11-12. Yamashita T, et al. Natural history and long-term effects of variant protein reduction in non-V30M ATTR amyloidosis. Neurology 2019;93(16):714-716. Yamashita T, et al. Changes in nerve excitability indices in hereditary transthyretin amyloidosis. Amyloid. 2019;26(sup1):9-10. Ando Y, Yamashita T, et al. Clinical, pathological, and proteomic characteristics of newly diagnosed amyloidosis patients: Experience from a single referral center in Japan. Clin Neurol Neurosi, 2020 in press
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今後の研究の推進方策 |
今後さらにプロテオミクス解析(LMD-LC-MS/MS)検体数を増やし、遺伝性TTR型脳アミロイド血管症のアミロイド沈着部位に存在する蛋白質の網羅的探索を実施し、アミロイド沈着機構と発現機序を探り、新たな疾患修飾療法のターゲットを探索している。これまで、ATTRを含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施していく。さらに、抽出したアミロイドの生化学的検討に加え、神経病理学的解析、臨床症候との関連性の解析を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、ATTR、脳アミロイド血管症を含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施した。現在、脳血管に沈着したアミロイドに対するプロテオミクス解析において同定された共存蛋白質において、高濃度に存在する蛋白質や、正常血管と比較して特異的に存在する蛋白質を探索中である。英語論文をはじめ、国際学会、国内学会総会で発表することができた。 しかし、予定していたスペインにおける国際アミロイドーシス学会が新型コロナウイルスによる影響で、本年9月に延期された。また、研究の一部も、同影響により、一部延期となっている。 研究自体は、ほぼ順調に進行しているが、一部の支出に、延期などが生じたため、次年度使用学が生じている。
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