<ニューロン・ミクログリア系細胞株の共培養伝播モデルを用いた検討> EGFP-タウ発現SH-SY5細胞に不溶性タウを導入し不溶性EGFP-タウ凝集体を形成させ、mCherry-タウ発現するSH-SY5Y細胞と共培養すると不溶性mCherry-タウが蓄積した。この結果から、EGFP-タウ発現SH-SY5Y細胞からseedとなるEGFP-タウが伝播しmCherry-タウの凝集を誘導することがわかった。さらにこの伝播モデルにミクログリア系細胞株BV-2あるいは初代培養ミクログリアを加え共培養すると不溶性mCherry-タウ蓄積が減少する傾向が見られたことから、ミクログリアは不溶性タウの細胞間伝播を何らかの方法で抑制していることが示唆された。 <TREM2欠損、TREM2 R47H変異マウスを用いたin vivo伝播モデルの検討>短期間でタウ病理の伝播を観察できるタウオパチーモデルマウスとして利用することを目的として、Tau-CTF過剰発現マウスの作出を試みた。CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集を行い、Tg601マウスが持つ野生型のヒト全長タウのトランスジーンをTau-CTFに改変した。1系統において目的の改変を確認し、ウエスタンブロッティングによる確認の結果脳において不溶性の全長タウが増加していることがわかった。しかしトランスジーン由来と認められるTau-CTFそのものの発現は、可溶性画分と不溶性画分のいずれにも認められなかったため、このTau-CTF Tgマウスはタウ伝播モデルへの応用には不適格であると考えられた。一方、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集を行い、TREM2欠損マウスおよびTREM2 R47H変異マウスを作製した。これらのマウスは、本研究課題のみならず、様々な生命現象や疾患におけるTREM2の役割を解明するために有用である。
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