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2019 年度 実施状況報告書

培養系病態モデルを用いた神経管異常発症機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K07833
研究機関藤田医科大学

研究代表者

尾身 実  藤田医科大学, 医学部, 助教 (00400416)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経管 / 神経
研究実績の概要

神経管閉鎖不全などの神経管異常(NTD)は中枢神経組織の先天的形成異常であり、0.1%から0.2%の高確率で起こり、重篤な場合では死にいたることもある。したがってNTDの発症機構を明らかにすることは医学的に極めて重要であると考えられる。バルプロ酸(VPA)は胎児期に作用するとNTDを引き起こすことが知られていることから、VPAの作用機序を解析することはNTDの発症機構の解明につながると考えられる。さらには神経管の発生機構に関しても新たな知見が得られるものと期待されることから、VPAの作用機序の解析は科学的見地からも意義のあることと考えられる。
申請者は、これまでにマウスのES細胞から神経細胞を分化誘導する過程でVPAを作用させ、その際の遺伝子発現変動を解析するためのRNA-Seqを行った。これにより発現量が2倍以上増減する遺伝子を1000程度見出した。続いてこれら遺伝子リストとweb上のパスウェイ解析ツール(DAVID, PANTHERなど)を用いて、どのような細胞内および細胞間シグナルパスウェイが影響を受けたかについて解析した。その結果、神経細胞の生存や分化に関連するシグナルパスウェイの遺伝子群がピックアップされてきた。これらに属する遺伝子のうち、まず2つの遺伝子についての解析を行った。はじめに、RNA-Seqの結果を定量PCRによって確認した。次に、細胞に対するVPAの作用を細胞の生存に関して解析したところ、神経細胞特異的マーカーを発現している細胞の割合が減少していた。つづいて、着目している遺伝子がVPAの作用に関与しているかを調べるため、shRNAを用いて遺伝子発現抑制実験を行った。その結果、神経細胞特異的マーカーを発現している細胞の減少率が低下していた。このことから、着目の遺伝子がVPAの作用を仲介している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでに行ってきたRNA-Seqで得られたデータの解析を行ってきた。そしてパスウェイ解析によっていくつかの遺伝子に着目し、それらが実際にVPAにより発現制御を受けているかを調べた。また、VPAが神経細胞に与える影響について調べた。らさに、着目した遺伝子がVPAの神経細胞に与える作用を仲介していることが遺伝子発現抑制実験により示唆された。したがって、実施計画にしたがい一定の成果を得ており、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、引き続き着目した遺伝子の機能解析を、発現抑制実験および過剰発現実験によりさらに進める。また、ピックアップされた他の遺伝子についても同様に解析を行い、遺伝子機能の解析と絞り込みを行う。絞り込みを行ったのちは、培養系神経管形成モデルを用いて、着目した遺伝子が神経管形成にどのように関与するかの解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

一部の実験において次年度に引き続き解析する必要が生じたため、次年度での使用額が発生した。研究遂行に必要なものとして、細胞および組織培養に必要な培地・血清およびプラスチック製品を計上した。また、免疫染色に必要な試薬および抗体、分子生物学実験に用いる酵素や試薬類、核酸類を計上した。また、研究を円滑に遂行するための研究補助員の人件費を計上した。成果発表および情報収集のための学会参加に掛かる費用を計上した。

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公開日: 2021-01-27  

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