神経管異常は中枢神経の先天的形成異常であり、運動機能などに支障を来す疾患であるが、発症の仕組みはいまだ明らかでない。本研究では、神経管異常を引き起こすバルプロ酸を用い、神経管異常発症の仕組みの一端を解明することを目的とした。ES細胞由来の神経細胞にバルプロ酸を作用させると、細胞死の亢進が見られた。バルプロ酸により発現が上昇する遺伝子をRNA-Seqにより選び、強制発現すると細胞死が亢進した。shRNAで着目遺伝子の機能を阻害すると、細胞死抑制の傾向が見られた。したがってバルプロ酸は現在着目している遺伝子を介して神経細胞死を誘発していること、この細胞死が神経管異常に関わっていることが考えられた。
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