研究課題/領域番号 |
19K07834
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
荒若 繁樹 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00344789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経病態学 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 / モデル動物 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病を病理学的に特徴づける所見のひとつは、神経細胞内におけるαシヌクレイン凝集体の出現である。αシヌクレインの発現は、オートファジーによる分解で調節されている。これまでの研究から、αシヌクレインの異常凝集におけるオートファジーの機能低下の関与が考えられている。しかし、オートファジーの活性化が、αシヌクレインの神経毒性を緩和させるか明らかでない。本研究課題の目的は、オートファジー制御因子であるBeclin 1の発現が、αシヌクレイン神経毒性に与える影響を明らかにすることである。具体的には、Beclin 1ノックアウト(KO)マウスにアデノ関連ウイルス(AAV)でαシヌクレインを黒質ドパミン神経細胞に発現させ、Beclin 1欠損によってαシヌクレイン神経毒性が促進されるか解析する。さらに、αシヌクレインを発現させたBeclin 1 KOマウスにBeclin 1機能誘導ペプチド(Tat-beclin1)を投与し、オートファジー依存性にαシヌクレイン神経毒性が緩和されるか解析する。2019年度は、実験材料の準備を行った。米国Jackson lab. からBeclin 1ノックアウト(KO)マウスの購入手続きを進めた。凍結胚からのマウス作製であったことから時間を要したが、2020年5月にKOマウスを入手した。また、マウス脳にAAV接種を行うための定位脳手術、脳採取、切片作成といった実験に必要な手技の訓練を行った。実験を行うための環境を整備した。KOマウスの準備が出来次第、実験に取りかかる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子組換え実験に伴う機関内申請手続きおよび動物実験実施に関わる申請手続きを行い、米国Jackson lab. からBeclin 1ノックアウト(KO)マウスの購入手続きを進めた。凍結胚からのマウス作製であったことから時間を要したが、2020年5月にKOマウスを入手した。現在、実験に使用するため繁殖を行っている。安定した実験系を供与するために、マウス脳にAAVを接種する定位脳手術手技の訓練を行った。また、還流固定後の脳採取、切片作成、免疫染色による黒質線条体ドパミン神経細胞の定量などの実験に必要な手技の訓練を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の目標として、第1にBeclin 1ノックアウト(KO)マウスにAAVでαシヌクレインを黒質ドパミン神経細胞に発現させる実験を行いたい。繁殖中であるKOマウスおよび野生型マウスの匹数が確保され次第、AAV接種実験に進む予定である。AAV接種後、2、4、8、12週目に脳を採取し、免疫組織化学的に、残存する黒質線条体ドパミン神経細胞の定量を行う。また、線条体において異常にリン酸化されたαシヌクレインの凝集体数を定量する。この実験に目途が立ったら、Beclin 1機能誘導ペプチド(Tat-beclin1)を投与し、Beclin 1の発現欠損によるαシヌクレイン神経毒性の変化をレスキューできるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度にノックアウトマウスを購入する予定であったが、実際の入荷が遅れてしまった影響で購入費用に残額が生じた。2020年度に入荷されたので、支出として使用される見込みである。
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