Beclin 1ノックアウトマウスを用いて、マクロオートファジーの誘導に関わる遺伝子の発現を抑制した場合、αシヌクレインの代謝にどのような変化が引き起こされるか検討した。その結果、1)5ヵ月齢のノックアウトマウスヘテロ接合体の大脳、線条体、脳幹、小脳のホモジネートにおいて、Beclin 1の発現は野生型マウスと比較して、約60%に低下している、2)5ヵ月齢のノックアウトマウスヘテロ接合体の大脳、線条体、脳幹、小脳のホモジネートにおいて、正常型の可溶性αシヌクレインの発現は、野生型マウスと比較して、有意な差を認めない、3)5ヵ月齢のノックアウトマウスヘテロ接合体の大脳、線条体のホモジネートにおいて、不溶性αシヌクレインの発現が、野生型マウスと比較して有意に増加している、といった所見を認めた。これらの所見は、Beclin 1依存性のマクロオートファジーがαシヌクレインの分解に関連していることを示唆している。部位によって、αシヌクレインの分解に対するマクロオートファジーの寄与が異なる可能性を示唆している。また、このノックアウトマウスの大脳皮質神経細胞初代培養を作製して実験を行った。ラパマイシン刺激によって増加するαシヌクレインの細胞外分泌が、ノックアウトマウス由来の神経細胞では抑制されることを見出した。この所見は、Beclin 1依存性のマクロオートファジーがαシヌクレインの細胞外分泌に関与していることを示唆している。現在、これらの所見について論文発表の準備を行っている。
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