研究課題/領域番号 |
19K07835
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
柳下 聡介 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, 室長 (30585592)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | タウ / アルツハイマー病 / 神経活動 / 新規遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病脳に見られる神経原線維変化(NFT)は,過剰なリン酸化を受けた微小管結合タンパク質タウで構成されている。NFTはアルツハイマー病脳に限らず,正常な老化であっても観察されるが,その形成メカニズムは分かっていない。また,リン酸化タウの増加とNFT形成との関係についても,実際のところ,不明な点が多い。本研究では,そのメカニズム解明を目指している。 私はこれまで,タウのリン酸化に着目して研究をしてきた。そして,「タウのリン酸化が増加した状態が持続することで,NFTの形成に至るのか否か」という問いをまず解こうと考えた。その前段階として,これまで,タウのリン酸化がどのように調節されているかを,培養細胞を用いて明らかにしてきた。 当該年度に関しては,これまでに蓄積してきたデータの解析を行い,タウのリン酸化変動を説明し得るモデルを構築した。次に,「ある種の刺激によって惹起された神経活動の変容の持続がタウの蓄積を促進するか否か」という問いに対して,モデルマウスを用いて検証することにした。介入実験に関しては,二種類の系を用いている。一つは,リン酸化タウの量を増加させる既知の非侵襲的なストレス刺激,もう一つは,本研究で着目している或るタンパク質の発現抑制ベクターの導入である。その結果,いづれの刺激においても,リン酸化タウの増加した状態が持続していること,不溶性のタウに増加傾向が見られることを確認した。また,予測された神経活動の変容についても,タンパク質量やmRNA量の定量などの方法により,評価を行った。解析は次年度も継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験に関しては,大方,予定通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から行っている解析を継続する。また,免疫染色によるタウの局在変化の有無の検証を行うとともに,行動実験によって,神経活動の変容やタウへの変化と行動との関係の検証を行う。 このような計画ではあるが,新型コロナウイルスによる感染症の影響のため,それ相応の遅延が予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は特になく,平素の研究活動から想定される範囲内の繰り越し額である。 次年度の消耗品購入に充てる予定である。
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