正常な加齢やアルツハイマー病の発症に伴い,脳に神経原線維変化が出現する。神経原線維変化はタウというタンパク質が過剰なリン酸化を受けて,神経細胞内に蓄積したものである。神経原線維変化の形成過程を理解することは,脳における加齢やアルツハイマー病の発症過程を理解するのに重要である。本研究では,タウのリン酸化が普段から変動していること,神経活動によって新しいタンパク質が作られている時にはリン酸化タウが減少することを明らかにした。また,タンパク質合成が阻害されている時には,リン酸化タウが増加するだけでなく,不溶性のタウも増加していた。タウが蓄積する背景に,タンパク質合成の低下がある可能性を見出した。
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