研究課題/領域番号 |
19K07836
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
荒木 亘 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60311429)
|
研究分担者 |
三條 伸夫 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト教授 (00343153)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | アミロイドβ / アルツハイマー病 / オリゴマー / シナプス / グルタミン酸受容体 / 神経毒性 / 認知症 |
研究実績の概要 |
アミロイドβオリゴマー(AβО)によって、神経毒性・シナプス毒性が引き起こされる分子メカニズムとして、神経細胞膜上の何らかの受容体への結合を介することが想定されているが、その実体はまだ不明確である。本研究では、この点に焦点を当てて、培養神経細胞、及びモデルマウス脳を用いて、研究を実施した。昨年度までの研究で、初代培養細胞の細胞外部において、AβОは、GluN2Bサブユニットを含むNMDA受容体、および代謝型グルタミン酸受容体1(mGluR1)と結合していることが示唆された。 一方、Aβが過剰に蓄積するようなマウスモデルにおいて、シナプス障害が起きることが報告されているが、これらの受容体の発現が変化しているかについては、明らかではない。そこで、ADのモデルマウスとして知られる5XFADトランスジェニックマウスと野生型マウスを用いて、大脳におけるGluN2A、GluN2B、mGluR1の発現を免疫蛍光染色で検討した。これらの受容体タンパク質は、大脳に広く発現していたが、特に海馬CA3領域で強い発現が認められたため、この領域に焦点を絞り免疫蛍光輝度を定量して、比較した。その結果、GluN2A、GluN2B、mGluR1の蛍光輝度は、5XFADでは対照に比べて、それぞれ約20%、10%、20%低下していた。これらの変化は5XFADマウスの認知機能障害と関連している可能性が考えられる。 総合すると、GluN2Bを含むNMDA受容体とmGluR1受容体がADのシナプス病態に重要な役割を持つことが明らかになった。前者については、過去の報告を裏付けるものであり、後者については新規な知見といえる。 本研究成果をまとめた論文が国際誌に受理された。また、AβОに関する英文総説も出版した。
|