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2021 年度 実施状況報告書

TDP-43の核移行を制御する一次構造変化と翻訳後修飾の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K07848
研究機関北里大学

研究代表者

佐藤 俊哉  北里大学, 医学部, 教授 (90359703)

研究分担者 小寺 義男  北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
板倉 誠  北里大学, 医学部, 准教授 (30398581)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードTDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / 疾患モデル
研究実績の概要

2021年度の推進方策(g)と以下の(c)について進展を示す。
(g)培養細胞を用いた細胞内局在スイッチの同定
本研究は「NLSが存在するにも拘わらず核移行しない変異型TDP-43を発現するマウス」の発見を契機に解析を進めてきたが、培養細胞とEGFPタグを融合させたTDP-43発現コンストラクトを用いた方策へ転換したところ、我々の仮説の誤りを発見した。すなわち上記の変異型TDP-43は、生細胞では核内に存在するものの、細胞分画などの生化学的処理過程に伴い細胞質に移行することが分かった。近年、TDP-43が核内でも集積してアニソソーム等の膜のない構造体を形成すること、さらにTDP-43の核外移行が受動拡散によることが報告された。これらの報告を加味すると、TDP-43 C末領域の欠損により核内での集積すなわち核内繋留が不良になるため、生化学的処理過程に伴い細胞質に移行する可能性があると考え、次の推進方策を立てた。
(c)CRISPR/Cas9を用いた新たなTDP-43改変マウスの作成
TDP-43 C末領域は構造的に4分割され(GaroS1、Hydrophobic、Q/N、GaroS2)、2019年度でも報告した通り、GaroS2領域のほぼ全領域(368-414 aa)を欠損させたCRY9B/Δ29系統マウスを確立した。このGaroS2欠損TDP-43は安定に発現し、ホモマウスも生存可能なことから、TDP-43の基本的な活性にはGaroS2が必須ではないことが分かった。既に報告のあるTDP-ΔC(274-414 aa)マウス、および我々が作成した内在性TDP-43 C末領域の部分欠損マウス12系統の比較から、GaroS1からQ/Nまで存在することが、TDP-43の安定性に必要であることが明らかになり、論文を投稿した(Research Square, in preprint)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

細胞内局在スイッチが262-348 aa内に存在すると推定して解析を進めてきたが、この前提に誤りがあることが分かった。しかしTDP-43の核内繋留という観点から新たな研究を進める糸口を見出すことができ、さらに内在性TDP-43 C末領域の部分欠損マウスを12系統を樹立し、TDP-43の安定性に必要な領域も決定できた。

今後の研究の推進方策

(h)培養細胞を用いたTDP-43核内繋留機構の解析
インポーチン阻害剤などを用い、TDP-43核外漏出モデルを確立する。これによりTDP-43変異の効果を定量的に評価できる系を作るとともに、新しい視点からALSモデルを作るための基礎的なデータを積み上げる。

次年度使用額が生じた理由

2021年11月25日に論文投稿を行なったが、年度内に査読が終了しなかったため、翌年度に繰り越しを行なった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Importance of the Q/N-rich Segment for Protein Stability and Activity of Endogenous Mouse TDP-432021

    • 著者名/発表者名
      Toshiya Sato
    • 雑誌名

      Research Square

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.21203/rs.3.rs-1113360/v1

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ALS原因遺伝子産物TDP-43の解析2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤俊哉
    • 学会等名
      2021年度脳研究所共同利用共同研究(笹岡班)合同セミナー

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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