研究課題
神経変性疾患として筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関してイノシトール6リン酸(IP6)、7リン酸(IP7)、イノシトール6リン酸キナーゼ(IP6K)の検討を行った。先ずは、ALSと診断がついた患者の末梢血液を20ml採取して、IP6、IP7を我々が開発したLC/MSを用いた方法にて測定した。末梢血液中のIP6、IP7の分布は、単核球に多く存在することが明らかとなり、赤血球や血小板にはほとんど含有されないことを明らかとした。ALS患者 11名と年齢をマッチさせたコントロール 22名でIP6、IP7を測定した。結果として、ALS患者の方が、IP6、IP7ともに増加していたが、明らかな有意差まではつかなかった。また、IP6Kの活性化を見るためにIP7/IP6比を検討したところ、ALSで上昇しており、ALSではIP6Kが活性化され、IP7が多く生成されているものと考えられた。また、ALS患者の剖検凍結脊髄 5例と年齢をマッチさせた神経疾患以外の病気にてお亡くなりになった患者の剖検凍結脊髄 9例のホモジェネート検体において、ALSでIP7およびIP7/IP6比が有意に増加していることを明らかとした。以上よりALSの病態にIP6K活性化が重要な役割を果たし、また、IP7がALSの早期診断マーカーとなる可能性を示すことができた。この研究は東海大学の倫理委員会承認済み(10R010)である。
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