研究課題/領域番号 |
19K07853
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
牛田 享宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60304680)
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研究分担者 |
木全 弘治 愛知医科大学, その他部局等, 名誉教授 (10022641)
太田 明伸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30438048)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 瘢痕形成 / 神経障害性疼痛 / 筋・組織再生法 / 侵害受容ニューロン |
研究実績の概要 |
事故や手術で損傷した骨格筋やその周囲組織は、瘢痕形成と同時に生ずる侵害受容ニューロンの瘢痕内伸長により、治療抵抗性の運動機能障害と慢性的な痛みを頻発する。ES細胞由来の間葉系幹細胞(MSCc)を収集してマウスの損傷筋に移植したところ、無傷筋では起こらない生着と筋分化が起こり、瘢痕化と痛みが改善した。この時、移植MSCcが損傷部位特異的に自己の細胞周囲に形成するヒアルロン酸(HA)-SHAP複合体がこのような結果を誘起していることを見出した(J Biol Chem.2015:290:22771)。また、損傷部位に特異に形成されたHA-SHAP複合体からの分化シグナルの実体についてマイクロアレー法などによる解析から幹細胞誘因調節因子ケモカインCxcl12の関与の可能性を見出した(DevelopCell 2018:46:533)。そこで本研究ではこれまでの発見をもとに、①拒絶反応や腫瘍化の問題のない自己骨髄由来MSCcがES細胞由来に代用可能かを検討し、②これらの分子の発現レベルや活性の制御方法を考案して、疼痛を引き起こさない正常な運動器として機能する筋・組織再生法の開発を目指すものである。まずは、瘢痕性疼痛のキーとなる遺伝子の解明を目指し、ノックアウトマウスモデルを用いた研究分析をすすめ、Heatmap解析およびPANTHER classification analysisを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
瘢痕性疼痛のキーとなる遺伝子の解明を目指し、ノックアウトマウスモデルを用いた研究分析をすすめ、Heatmap解析およびPANTHER classification analysisを行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、スケジュールが思うように進まず、解析がストップしている。
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今後の研究の推進方策 |
1.骨髄由来幹細胞MSCcが成体内で骨格筋分化能を維持し、移植の場で筋再生に参画することをGFPトランスジェニックマウスから収集したGFP標識MSCsを用いて形態学的、定量化して実証する。細胞源として骨髄以外の組織についても比較検討する。移植による筋再生の促進と瘢痕化の抑制の結果、機能回復と痛みの改善をもたらすことを、前者についてはマウスの歩行状態の解析を行う、後者についてはvon Frey法の結果を新しく提案されたSUDO法を用いて処理・解析し検証する。 2.移植幹細MSCcが損傷部位特異に分泌するTSG6の触媒作用により形成されるヒアルロン酸(HA)-SHAP複合体の関与が重要と思われた(J Biol Chem.2015:290: 22771)。今回、その検証を、SHAP蛋白またTSG6合成能欠損による複合体KOマウスを用いて行う。さらに実際の損傷部位における複合体欠損を免疫組織学的及び生化学的解析で確認する。マイクロアレー法でHA-SHAP複合体からのシグナルについて、発現遺伝子の情報をカスケード解析し、Cxcl12の関与、痛み関連遺伝子発現への影響の探索をキーノード解析により行い、系路の上流分子の関与を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実働チームの人員の体調不良などが生じた上に新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、出勤できない状況が生じ、動物実験を一時中断せざるを得なくなってしまったため研究が遅れている。
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