研究課題/領域番号 |
19K07863
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀧澤 淳 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70463990)
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研究分担者 |
曽根 博仁 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30312846)
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
河本 啓介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60791481)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CLL / CLLRSG-01 / CLL-like LPD / LEF1 |
研究実績の概要 |
慢性リンパ性白血病(CLL)は西欧諸国で最も頻度の高い成人白血病であるが、本邦を含めた東アジアでは極めて希少な疾患で、その理由は不明のままである。その原因を解明するために本邦CLLの本態を明確にすることが本研究の目的である。2020年3月まで行ってきた国内前方視登録研究(CLLRSG-01)の登録症例を対象にして研究を行っている。 登録症例に対してフローサイトメトリー(FCM)解析により免疫表現形を解析したが、免疫表現形が典型的(CD5陽性かつCD23陽性のB細胞腫瘍)なCLLと非典型的なCLL-like LPDに分類し、免疫組織化学(IHC)を用いてLEF1発現を検討した。Matutes score 4または5のCLL27例は全例LEF1陽性であったが、score 3のCLLは33例中LEF1陽性は20例(61%)のみで1/3以上がLEF1陰性であることが判明した。CLL-like LPDは21例中8例(38%)がLEF1陽性であり、これらが本当にCLLと異なる疾患であるか更なる検討が必要と考えられた。この検討結果は2019年9月に行われたinternational workshop on CLL (iwCLL2019)に採用され発表を行った。 さらにCLL-like LPDの本態を明らかにするために濾胞辺縁帯B細胞に特徴的な分子と考えられるIRTA1とMNDAの発現についてIHCで検討を行った。陽性コントロールとして用いた濾胞辺縁帯B細胞由来リンパ腫(節性濾胞辺縁帯リンパ腫:NMZL、脾辺縁帯リンパ腫:SMZL、節外性脾辺縁帯MALT型リンパ腫)に発現が認められIHCが機能することが確認され、染色結果を集計している。現在、FISH解析による染色体異常や免疫グロブリン重鎖可変領域(IGHV)の体細胞突然変異(SHM)の有無を含め臨床的および細胞遺伝学的解析結果との比較検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CLLとCLL-like LPDにおけるLEF1発現については2019年9月にエジンバラで行われたiwCLL2019で発表した。また、CLL-like LPDにおけるIRTA1とMNDA発現について免疫組織化学で解析を実施しているが、終了したのは半数程度で予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
CLLおよびCLL-like LPD症例における免疫組織化学によるIRTA1とMNDA発現解析を終了し、結果をまとめる。またFISH解析による染色体異常や解析済みの遺伝子変異結果について比較検討を行う。それらの結果を踏まえて網羅的遺伝子解析へ結びつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
CLL-like LPDの本体を解明するためにIRTA-1とMNDAの発現解析を行っているが約半数に止まっており、免疫染色に用いる抗体など消耗品を全て購入しなかったため次年度使用額が発生した。翌年度に残りの免疫染色を行う際に使用し、計画通り次年度分予算を用いて網羅的遺伝子解析を行う予定である。
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