研究課題
われわれはこれまで,健常高齢者と軽度~中等度の認知症患者に対する音楽体操の有効性を報告してきた (Satoh, PLoS One, 2014; Satoh, JAD, 2017/2020; Tabei, Front Aging Neurosaci, 2017/2018)。本研究は,残る重度認知症に対する効果を調べることを目的としていたが,令和元年度に品川区の複数の施設で開始して間もなく新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のために対面での体操教室の開催が不可能となり,休止を余儀なくされた。そこでわれわれは,オンラインで音楽教室を開催できないかを考え,令和3年度には送信側・受信側の機器の設定が確立し,オンラインによる音楽体操教室の体制が整った。令和 4年度には,沖縄県宮古島と東京品川区の産技大を結び,オンラインに依る音楽体操教室を開催した (宮古島プロジェクト)。宮古島の 2施設,計 20名ほどの中等度から重度の認知症患者を対象に,週 1回・40分の音楽体操をオンラインにて施行した。当初,認知症患者にテレビモニターを介した指示が伝わるか懸念していたが,,施設スタッフの協力により問題なくできた。半年間の介入前後で,オンラインで神経心理検査を施行し,2023年 3月末に全員の検査を終了した。令和 5年度は,得られたデータを解析し,学会発表そして論文化を予定している。発表する学会は日本認知症学会や日本高次脳機能障害学会などを想定している。
3: やや遅れている
研究の当初は予定通り進捗していたが,COVID-19 感染症のために音楽体操による介入を中断せざるを得なくなった。2年余りを経ても感染の終息の気配が見えないため,オンラインによる音楽体操教室を行うことにし,送信側・受信側の体制をは整えたうえで,東京と宮古島を結んだ音楽体操教室を認知症患者を対象に半年間施行し,前後での認知機能のデータを得たところである (宮古島プロジェクト)。当初と内容は少し異なるが,有効性が確認されれば今後の 5G 通信の展開と合わせて島嶼部や僻地での活用が期待される。
オンラインでの音楽体操教室の開催を進めていく。令和3年度に,送信側・受信側の機器の設定が完了し,令和 4年度に宮古島を舞台にオンラインによる音楽体操教室を半年間施行した。年度末にオンラインでの神経心理検査が終了し,令和 5年度にはそれらのデータの解析,学会発表,論文化を進めていく予定である。
COVID-19 感染症の蔓延のため,予定していた対面での体操教室が開催できなかった。令和 5年度には,代替手段として導入したオンラインによる東京と島嶼部を繋いでの音楽体操の効果について検証・報告する予定である。
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