研究課題/領域番号 |
19K07868
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
川村 良一 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (90533092)
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研究分担者 |
高田 康徳 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (20432792)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インスリン抵抗性 / レジスチン / 一塩基多型 / ハプロタイプ / 環境因子 |
研究実績の概要 |
レジスチンは、ヒトにおいては主に単球・マクロファージに発現しており、インスリン抵抗性、及び炎症や動脈硬化とも関連する。我々は、レジスチン遺伝子プロモーター領域の一塩基多型(SNP)-420がG/G遺伝子型を有すると、C/C型と比べ、2型糖尿病のリスクが約1.8倍高いことを報告した。さらに、近傍のSNP-358がAアレルの場合、連鎖不平衡のためSNP-420は原則としてGアレルとなり、このSNP-420/-358 G-Aハプロタイプを多く持つほど、血中レジスチンは高かった。一方、レジスチンSNPや血中濃度に影響する環境因子は十分には明らかになっていない。 本研究では、一般住民約2500人において、インスリン抵抗性関連遺伝子レジスチンの一塩基多型(SNP)-420と-358の組み合わせ(ハプロタイプ)と、環境因子との関係、及び相互作用について解析を行った。本コホートにおいても、SNP-420/-358 G-Aハプロタイプを有すると、血中レジスチンは最も高かった。 血中レジスチンは白血球数と正に、n-3多価不飽和脂肪酸摂取量と負に、身体活動と負に関連した。5年間の前向き研究において、血中レジスチンは、5年後に身体活動が増えた群ほど低下した。この関連は、SNP-420/-358 G-Aハプロタイプを有する場合に強かった。 次に上記の環境因子が血中レジスチンに及ぼす影響を点数化し、各対象者における合計点を環境因子スコアとした。環境因子スコアは、血中レジスチンと正に関連した。この関連はSNP-420/-358ハプロタイプを有する場合に強かった。インスリン抵抗性疾患の高精度医療に、ハプロタイプと環境因子スコアが応用できる可能性が想定された。 また、インスリン分泌に関連する遺伝子については、アミリンのSNPが、血糖値に応じてインスリン分泌低下と関連することを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般住民における健診は、縮小や中止となったため、前向き研究に関しては進捗がやや遅れている。そのため、遺伝疫学研究においては、横断研究においての解析を中心に行い、疾患の発症調査を行った。遺伝子・環境因子相互作用を認めた環境因子に関して、遺伝子発現解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、一般住民の健診を通常通り行うことを予定している。これにより、10年~15年後の前向き研究を進め、遺伝子・環境因子相互作用が、2型糖尿病や心血管病、サルコペニアや認知症などのインスリン抵抗性関連疾患に及ぼす影響を解析する。また、明らかになった関連について、遺伝子発現解析やパスウェイ解析などを行い、メカニズムを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は一般住民における健診が中止となったため、次年度に繰り越し、使用する予定である。
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