研究課題/領域番号 |
19K07874
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三井田 孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80260545)
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研究分担者 |
平山 哲 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (10345506)
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (30410228)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オキシステロール / 質量分析 / コレステロール吸収霜害薬 / 黄色腫 |
研究実績の概要 |
本研究課題により確立したオキシステロール測定系を用いて、今年度はコレステロールとトリグリセライドの両方が高いIIb型脂質異常症において、治療法の違いによるオキシステロールの変化について検討した。当院循環器外来を受診し、総コレステロールが220mg/dL以上かつトリグリセライドが150mg/dL以上を満たす24例(男性18例、75%)平均57±13歳を対象とした。患者は2群に分け、それぞれを食事療法またはコレステロール吸収阻害剤のエゼチミブで2か月間治療した。1か月間のwashout期間ののちに治療法を変更し、さらに2か月間治療治療した。それぞれの治療前後で、オキシステロール濃度をGC/MS法により測定した。2群のデータは、同じ治療前後のものをまとめて解析した。cholesterol-5α,6α-epoxide、cholesterol-5β,6β-epoxide、24S-hydroxycholesterol、25-hydroxycholesterolはいずれの治療前後でも有意な変化は認めなかった。4β-hydroxycholesterolは、食事療法では有意な変化がなかったが、エゼチミブでは有意に低下した(-22%, p=0.049)。7β-hydroxycholesterol と7-ketocholesterolは食事療法では有意な変化がなかったが、エゼチミブ投与群では低下傾向を認めた(16%, p=0.08; 21%, p=0.05)。これとは逆に、27-hydroxycholesterolは食事療法で14%低下したが(P=0.03)、エゼチミブでは有意な変化はなかった。エゼチミブは活性酸素(ROS)で産生されるオキシステロールを低下させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検討の対象としたメタボリックシンドロームの患者を新規に集めることが、新型コロナウイルス感染のために難しかった。また、同意を得ても途中で脱落する患者が少なくなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、指定難病で黄色腫を合併する原発性脂質異常症(脳腱黄色腫)および続発性脂質異常症(アラジール症候群)において、黄色腫発症とオキシステロール高値が関連するかを明らかにしていく予定である。脳腱黄色腫については、すでに本学の倫理委員会で承認を受けている。患者のリクルートについては、日本動脈硬化学会および厚生労働省科学研究費の原発性脂質異常症に関する調査研究班(代表:斯波真理子)と連携する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、患者サンプルの取得に時間がかかってしまったことで、論文化や学会での発表が遅れてしまった。
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