研究課題/領域番号 |
19K07874
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三井田 孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80260545)
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研究分担者 |
平山 哲 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (10345506)
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (30410228)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オキシステロール / 質量分析 / 動脈硬化 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
コレステロールの酸化物であるオキシステロールは、血中にはコレステロールと比較して非常に微量しか存在しない。さらに、血中には多くの種類のオキシステロールが存在する。オキシステロールをコレステロールと分離するために前処理が必要で、多種類のオキシステロールを同時に測定することはこれまで困難であった。本研究により、同じ前処理をしたサンプルを用いて、12種類のオキシステロールに加え、5つのコレステロール前駆体と3つの植物ステロールを同時に測定する系を確立した。本法は回収率が89~103%と良好で、併行精度、室内再現精度、室間再現精度はいずれも11%未満と良好であった。2型糖尿病患者と健常者の比較では、血清脂質を調整後も糖尿病群の25ヒドロキシコレステロールが約2倍と高かった。IIb型高脂血症の患者では、エゼチミブ投与で7ヒドロキシコレステロールと7ケトコレステロールだけが有意に低下した。 最終年度では、脳腱黄色腫について27水酸化酵素をコードするCYP27A1遺伝子変異ホモ型の双生児例において、従来から診断に用いられているオキシステロールであるコレスタノールに加え、12種類のオキシステロールを同時に測定した。ケノデオキシコール酸投与により、コレスタノールはどちらの患者でもすみやかに低下した。複数のオキシステロールが患者で健常者より上昇していたが、上昇の程度は項目により異なっていた。ケノデオキシコール酸治療後も、オキシステロールは正常化せず著明な上昇が認められたうえ、兄弟により反応性に差があった。以上より、疾患により上昇するオキシステロールが異なること、治療による変動が従来の脂質項目の変動とは一致しないことが明らかとなり、オキシステロールの多項目同時測定が有用である可能性が示唆された。
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