研究課題/領域番号 |
19K07883
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
萬谷 啓子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70415496)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / APP / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
近年糖鎖の異常が様々な疾患の原因となることが示されており、タンパク質の機能を考える上で糖鎖修飾まで含めた解析を行う事が必要である。研究代表者はこれまでにアルツハイマー病(AD)患者脳では健常脳と比較してO型糖鎖合成開始酵素ファミリーppGalNAcTの発現が異なることや、APP上のO型糖鎖の変化によって代謝が変動し、βアミロイド(Aβ)産生に影響することを見いだしている。そこで本研究では、APPはppGalNAcTによってどのようにO型糖鎖修飾されるのか、O型糖鎖修飾はAPP代謝へどのような影響をおよぼすのかを明らかにすることを目的とする。ppGalNAcTは約20個のアイソフォームが同定されているが、それぞれの基質特異性は完全には解析されていない。そこで、共発現によりAβ産生を減少させる効果の見られたppGalNAcT6について研究を行っている。今年度は主に、O型糖鎖修飾の増加がAβ産生を減少させるメカニズムについて検討する目的で、ppGalNAcT6-APP共発現細胞を作成し、APPおよびα、β、γ-セクレターゼの細胞内局在を免疫染色により解析している。また、Aβ産生を減少させることによりアルツハイマー病に対して予防的に働くAPP変異(Icelandic変異)があり、この変異ではAlaがThrに置換されるため、このThrが新たなO型糖鎖修飾部位となっている可能性が考えられるため、この変異型APPを発現する培養細胞を作成し、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う在宅勤務などにより実験の進行が遅れたことから、当初の実験計画よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、APPおよα、β、γ-セクレターゼの細胞内局在の解析を進めO型糖鎖修飾の変化による各分子の局在変化がAβ産生変化をもたらすか検討する。またIcelandic変異型APPにおいてO型糖鎖修飾の変化が認められた場合は、①免疫染色による細胞内局在の解析、②精製したリコンビナント変異型APPを用いてα、β、γ-セクレターゼに対する感受性の解析、③約20個のアイソフォームが存在するppGalNAcTのうち、どのppGalNAcTが変異部位にO型糖鎖修飾を行うのか合成ペプチドなどを用いた解析、を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う在宅勤務により実験の進行が遅れたことや、学会が誌上開催やオンライン開催になったため旅費を使用しなかったことにより未使用額が発生したが,次年度以降の物品購入に使用予定である。
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