研究課題
肺がんの新規バイオマーカー、治療標的分子の同定、機能解析を起こっており、肺がで高頻度に発現上昇し、生命維持に重要な正常組織で発現のほとんどない遺伝子URST1, OASEP1に関する解析を中心に行った。URST1:siRNAでURST1をノックダウンすると増殖、浸潤を抑制することを確認した。また、URST1をノックダウンするとG2/M期での細胞の割合が増加し、G2/M arrestをきたしていた。以上より、URST1はがん細胞の分裂を抑制する際に重要なタンパクであると考えらえた。臨床応用を目指して、URST1を機能阻害する低分子化合物をを用いた新規治療薬の開発も進めており、低分子化合物を添加することで肺がん細胞の増殖が抑制された。OASEP1:siRNAでノックダウンすると増殖、浸潤を抑制することを確認した。また、OASEP1は分泌タンパクであり、OASEP1タンパクを加えると、がん細胞が有意に増殖した。以上より、がん細胞の増殖をautocrine/paracrine pathwayで促進しているものと考えらえた。一方、OASEP1の受容体となる膜タンパクに関する研究も進めており、受容体をsiRNAでノックダウンすると増殖が抑制されることを確認した。URST1, OASEP1に関係する下流遺伝子をGeneChipを用いて検討した。:siRNAでノックダウン後に変化する遺伝子を抽出し、VEGF,上皮間葉転換に関連するpathway, miRNAを制御するpathwayも下流のpathway候補としてあがった。上記以外の候補についても同様に検討を進め、がんの増殖、浸潤に重要であることが判明している。
2: おおむね順調に進展している
肺がんで高頻度に発現上昇し、生命維持に重要な正常組織で発現のほとんどない遺伝子URST1, OASEP1に関する解析を主に行ない、それぞれ以下の知見を得た。URST1:siRNAでURST1をノックダウン後、増殖、浸潤を抑制し、G2/M期での細胞の割合が増加し、URST1は肺がん細胞の分裂に強く関与することを示せた。更に、URST1を機能阻害する低分子化合物を用いて新規治療薬の有効性を示せた。OASEP1:siRNAでノックダウンすると増殖、浸潤を抑制することを確認した。また、OASEP1は分泌タンパクであり、OASEP1の受容体となる膜タンパクに関する研究も進めており、受容体をsiRNAでノックダウンすると増殖が抑制されることを確認した。OASEP1タンパクを加えると、がん細胞が有意に増殖し、autocrine/paracrine pathwayの関与することを示した。更に、URST1, OASEP1に関係する下流遺伝子をGeneChipを用いて抽出し、VEGF,上皮間葉転換に関連するpathway, miRNAを制御するpathwayも下流のpathwayも解明できつつあり、順調に研究は進んでいるものと考えた。
肺がんで高頻度に発現上昇し、生命維持に重要な正常組織で発現のほとんどない遺伝子URST1, OASEP1に関する解析を続けていくこととなる。URST1, OASEP1に関係する下流遺伝子VEGF,上皮間葉転換に関連するpathway, miRNAを制御するpathwayも下流のpathwayについて、qPCRなどで実際に発現低下していることを確認し、それぞれのpathway, 下流遺伝子の位置づけを行う。URST1:がんの増殖浸潤に関する機能解析を進め、臨床応用を目指し引き続き検討を行う。URST1を機能阻害する低分子化合物を用いた新規治療薬の有効性を更に検証する。URST1を機能阻害する低分子化合物を用いた新規治療薬の可能性も示唆された。その阻害剤を入手し、治療薬としての可能性を模索したい。OASEP1:がんの増殖浸潤に関する機能解析を進める。分泌タンパクであるOASEP1、OASEP1の受容体との肺がんでの関係性を更に検証する。autocrine/paracrine的に肺がんの増殖を促進していると考えられ、受容体との結合阻害を中心に治療薬としての臨床応用への可能性を検討していく。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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