本研究の目的は「加齢および加齢関連疾患に関連する慢性炎症の代謝分子機構の解明」である。特に解糖系代謝酵素PGAMによる解糖制御機構を解析し、加齢関連疾患の一つである炎症や癌細胞の増殖へのPGAMの関与に焦点を当てた。PGAMは癌細胞で解糖系調節に重要な役割を果たすことを同定した。PGAMは発癌性Ras発現条件下でChk1との相互作用を介して、癌細胞における解糖系代謝を上昇させる。PGAMとChk 1の相互作用を阻害すると、PGAM活性はそのままで、癌における解糖系代謝亢進が妨げられた。従って、 PGAMの非酵素的機能は癌増殖に伴うWarburg効果に必須である。
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