研究課題/領域番号 |
19K07888
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神出 計 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393239)
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研究分担者 |
樺山 舞 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50635498)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 血圧変動 / 老年症候群 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
最終年度にあたる令和3年度は、新型コロナ感染症の影響はあったものの高齢者長期縦断疫学研究(SONIC)の99歳調査ならびに89歳調査を十分な感染対策をした上で遂行した。 このためこれまでに行ってきた高齢者血圧関連の研究をまとめることに最も重点をおき研究活動を進めた。 具体的にはSONIC研究に参加した70歳,80歳,90歳の地域一般住民を対象に、会場調査血圧と家庭で自己測定した血圧に注目をして、会場の収縮期血圧-家庭収縮期がΔ10mmHgより大きい場合、白衣現象(白衣高血圧)、0~10mmHgの範囲内を正常、0未満を仮面高血圧と考えて分類したところ、有意差はないものの70歳では白衣現象が多く、90歳では仮面現象が多いことがわかった。さらに白衣現象に関連する要因は、高い収縮期血圧とカルシウム拮抗薬の内服が白衣現象を有意に減少させる要因であった。一方、仮面現象に有意に関連する要因は同定できなかった。このように血圧の測定場所やタイミングによる変動性の特徴を高齢期において明らかにできたことは意義深く、今後の高血圧高血圧の血圧管理法において示唆に富む知見と考えられた。 在宅医療エビデンス確立のための包括研究(OHCARE研究)はコロナ禍であったが研究協力機関の善意もあり調査を遂行した。その結果、夏と冬の季節の違いによる血圧値の季節変動を示す療養者は肺炎などの入院につながるイベントが多いことが明らかとなり学会誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染によって出た影響は大きくほぼ1年間、調査予定がずれ込んだため、もう一年本研究プロジェクトを継続してさらなる研究成果につなげる。SONIC研究では起立時血圧変動と老年症候群の関連性、さらにはOHCARE研究では訪問時血圧値の変動とその後の、入院・死亡などの転帰はこれまでに明らかなエビデンスがなかったため分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SONIC研究82歳調査を行いながら、超高齢者家庭血圧の日間変動が、認知機能低下に及ぼす影響の因果関係を明らかにするため、3年後の追跡調査を行い得られたデータから縦断的な解析を行う。また在宅医療受療者を対象としたコホート研究(OHCARE研究)から得られた訪問時血圧の変動性と療養中の臨床的なイベントや予後についての解析も症例を増やして検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一年間調査がずれたため、残していた研究資金を用いて、上記の超高齢者家庭血圧の日間変動が、認知機能低下に及ぼす影響の因果関係を明らかにするため、3年後の追跡調査を行い得られたデータから縦断的な解析を行う。
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