研究課題/領域番号 |
19K07889
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
上岡 樹生 天理医療大学, 医療学部, 特別研究員 (00274374)
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研究分担者 |
今村 潤 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (30232614)
森本 徳仁 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (60398055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 幼若血小板分画 |
研究実績の概要 |
高知大学医学部附属病院検査部生理検査システムから2008年から2018年までの頸動脈エコー施行例を調査し、患者IDをもとに同検体検査システムで幼若血小板分画(IPF)検査を行っている症例を抽出している。この中で糖尿病・慢性腎不全・がんの治療中・血液疾患・炎症性疾患・C型肝炎ウイルス陽性・膠原病・抗凝固薬投与中・抗血小板薬投与中・血小板が基準値から外れている症例、を除外し、エコー上動脈硬化病変が認められる群ではIPFが有意に高いことを2019年度に明らかにした。2021年度はこれまで見解の一致していなかった糖尿病群におけるIPFについて検討を行った。これまで除外対象としていた糖尿病群と2019年度に動脈硬化病変の認められなかった対照群を比較したところ、Mann-Whitneyにてp>0.05と有意な差は認められなかった。2013のLeeらの報告では、糖尿病ではIPFが高値傾向を示すとされているが、2016のVerdoiaらの報告ではむしろ低値傾向を示しており、見解が一致していない状況であるが、本検討では高値も低値も取っていないという結果が得られた。糖尿病を有する患者については、動脈硬化病変の範囲によりIPFの値が高くなる傾向があるようであるものの、症例数が少なく、今回は検討に加えることは出来ていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の勤務地は奈良県であるが、本研究は高知大学のデータを扱う研究内容である。高知大学医学部附属病院は新型コロナウイルス対策として他施設の研究者の訪問を禁止しているため、新たな年度のデータを抽出する作業はできていない。しかしながら、初年度の計画に従い、一定の成果を上げることが出来ており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に除外とした、抗凝固薬・抗血小板薬の投薬中の患者の中にはIPFが高値傾向が続く患者が散見されている。2008年から2018年の期間中、少なくとも5年間の経過観察がなされている症例について、脳梗塞・心筋梗塞・冠動脈閉塞の発症を調べる。これにより、持続するIPF高値が動脈硬化病変の増悪を予見するための指標となり得るかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の蔓延のため、学会参加の多くがWeb対応となり、旅費等の繰り越しが発生し、次年度へ持ち越しとなった。
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