研究課題/領域番号 |
19K07889
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
上岡 樹生 天理医療大学, 医療学部, 特別研究員 (00274374)
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研究分担者 |
今村 潤 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (30232614)
森本 徳仁 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (60398055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 幼若血小板分画 |
研究実績の概要 |
網血小板は骨髄から新生された幼若血小板(IPF)であり、骨髄の血小板造血を間接的に知りうる指標である。現在、網血小板は多項目自動血球分析装置による網赤血球測定の際、自動的に算出され、網血小板数/全血小板数=幼若血小板分画(%)の形で参考値として臨床側に提供されている。本研究では、検査部生理検査システムから2008年から2018年までの頸動脈エコー施行かつIPF検査を行っている症例を抽出し、解析を行っている。2022年度は、動脈硬化性疾患においてIPFの高値傾向の持続はが脳梗塞・心筋梗塞の発症と関連するかについて、5年間の経過観察がなされている症例を抽出し、脳梗塞・心筋梗塞・冠動脈閉塞の発症を調べ、持続するIPF高値が動脈硬化病変の増悪を予見するための指標となるか検討した。抗血小板薬・抗凝固薬投与中の112名のうち、5年以上フォローされている患者20名について脳梗塞・心筋梗塞・冠動脈閉塞などの血管イベントの発生を観察したところ、IPF<3.0の14名からは1名、IPF≧3.0の6名からは2名で血管イベントの発生が確認された。血栓形成の抑制のため投薬中であってもIPFが高値傾向を示す場合には、動脈性の血管イベントの発生が増加する可能性が示唆された。抗血小板薬・抗凝固薬投与によってもIPFが3.0を超える場合、動脈硬化は進行していっていることが推測され、加療中にIPF高値が持続していた場合、狭窄・閉塞は増悪していると推定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は高知大学のデータを扱う研究内容である。高知大学医学部附属病院は新型コロナウイルス対策として他施設の研究者の訪問を禁止しているため、新たな年度のデータを抽出する作業はできていない。一定の成果を上げることが出来たものの、抽出できた症例が少なく、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に抽出出来た症例数は少なかったものの、抗凝固薬・抗血小板薬の投薬中にも拘らずIPFの高値傾向が続く患者が散見されることが発見できた。これらの症例について脳梗塞・心筋梗塞の発症を追跡したところ、対照としてIPFの高値が見られていない患者群を設定し、比較したところ、明らかに脳梗塞・心筋梗塞・冠動脈閉塞の発症が高いことが判明した。この事実をもとに、さらに症例を集めることで、持続するIPF高値が動脈硬化病変の増悪を予見するための指標となり得ることを示していく。一連の検討を通して、「動脈硬化の病変部で起きている血小板消費は、IPF値により評価できる」という仮説を検証することで、日本人死因の上位にある心疾患・脳血管疾患の適時な治療方針決定における一つの因子としてIPFを位置づける。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度計画に若干の遅れが生じた影響で予算の執行にも遅れが発生している。集積したデータの取りまとめを行う目的で延長した次年度に繰り越した予算を計上する。
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