研究課題
2020年度は、地域住民約2000人の住民健診、および郵送で健康状態のアンケート調査を実施した。生活習慣病や認知症の発症の疑いがあれば、本人への調査や医療機関への調査を行い、症例を会議で検討し診断を確定させた。2017年に実施した家族機能と慢性疼痛に関する質問紙調査のデータを整備し、以下の研究結果が得られた。【目的】慢性疼痛患者において家族機能が痛みに及ぼす影響を検討した報告は散見されるが、地域一般住民を対象とした検討はない。本研究では、地域一般住民を対象に家族機能と慢性疼痛の関連を検討した。【方法】2017-2018年に福岡県久山町の住民健診を受診した40歳以上の住民のうち研究に同意し、質問紙調査を受けた2,523名(男性44%、40-90歳)を対象とした。家族機能はShort Version of the General Functioning Subscale of the McMaster Family Assessment Device(GF6+)で評価し、正常群(≦1.8点)、境界群(>1.8点, ≦2.0点)、家族機能不全群(>2.0点)に分類した。慢性疼痛は罹病期間3ヶ月以上とした。統計解析にはロジスティック回帰分析を用いた。【結果】家族機能各群の頻度は、正常群48%、境界群33%、家族機能不全群19%であった。慢性疼痛の有症率は49%であった。慢性疼痛を有するオッズ比(95%信頼区間)(多変量調整後)は、正常群に比べ、境界群で1.19(0.99-1.43)、家族機能不全群で1.44(1.15-1.80)と有意に上昇した。【結論】わが国の地域一般住民において、家族機能の低下に伴い慢性疼痛を有するリスクは有意に上昇した。慢性疼痛のマネジメントにおいて、家族機能を考慮することの重要性が示唆された。
3: やや遅れている
2020年度は新型コロナ感染症の蔓延による影響で、感染対策下で実施した集団健診による調査の人数は減少し、医療機関を訪問して行う診療録の調査が遅延した。そのため、過年度の横断研究データの整備や論文執筆を中心に行った。
新型コロナ感染症の影響は続いているものの、感染症対策を工夫しながら、2021年度は従来通りの3000人規模の健診を実施し、追跡調査を行う予定である。また、2022年度の40歳以上の全住民を対象とした一斉調査の準備を行っていく。
2020年度は新型コロナ感染症蔓延の影響で、すべての学会がWeb開催もしくは延期となったため、旅費を使用しなかった。
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J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci
巻: 76 ページ: 1756-1766
10.1093/geronb/gbaa196
Nutrients
巻: 12 ページ: E3160
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http://www.eph.med.kyushu-u.ac.jp/result/