研究課題/領域番号 |
19K07890
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 舞欧 九州大学, 医学研究院, 助教 (20734982)
|
研究分担者 |
平林 直樹 九州大学, 伊都診療所, 講師 (20784474)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 家族機能 / 抑うつ症状 / 疫学 / 地域一般住民 |
研究実績の概要 |
2021年度は、地域住民約2000人の住民健診、および郵送で健康状態のアンケート調査を実施した。生活習慣病や認知症の発症の疑いがあれば、本人への調査や医療機関への調査を行い、症例を会議で検討し診断を確定させた。2017年に実施した家族機能と抑うつ症状に関する質問紙調査のデータを整備し、以下の研究結果が得られた。 【目的】家族機能不全と抑うつ症状の関連を示唆する報告が散見されるが、地域一般住民を対象にした疫学研究は限られている。本研究では、地域一般住民を対象に家族機能レベルと抑うつ症状の関連を男女別に検討した。 【方法】2017-2018年に福岡県久山町の住民健診を受診した40歳以上の住民のうち、2595名を対象とした。家族機能はShort Version of the General Functioning Subscale of the McMaster Family Assessment Device (GF6+)で評価し、正常群(≦1.8点)、境界群(>1.8点,≦2.0点)、不全群(>2.0点)に分類した。抑うつ症状はPatient Health Questionnaire-9 (PHQ-9)で評価し、10点以上を抑うつ症状ありと定義した。統計解析はロジスティック回帰分析を用いた。 【結果】抑うつ症状を有する多変量調整後のオッズ比(95%信頼区間)は、正常群と比べ、男性では境界群で3.32(1.51-7.29)、不全群で4.09(1.76-9.54)、女性では境界群で1.04(0.56-1.95)、不全群で3.02(1.76-5.18)であり、男性では境界群のレベルから、女性では不全群で有意に上昇した。 【結論】地域住民において、家族機能レベルの低下に伴い抑うつ症状を有するリスクが上昇した。抑うつ症状のマネジメントにおいて、家族機能を考慮することの重要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は新型コロナ感染症の蔓延による影響はあるものの、感染対策下で集団健診を実施し、医療機関を訪問して行う診療録の調査も行い、おおむね順調に追跡調査を行えた。また、過年度の横断研究データの整備や論文執筆も行っている。学会発表は全てオンライン開催となったが、研究成果を発表し、関連する最新の知見を収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に40歳以上の全住民を対象とした一斉調査を予定していたが、コロナ禍のため次年度に延期することとなった。2022年度は、2023年に延期となった一斉調査へ向けて、質問紙調査のソフト開発、人材確保、広報活動などを行っていく。また、データ整備、データ解析、論文化も引き続き継続していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症蔓延の影響で、学会発表は全てオンライン開催となったため、出張費がかからなかった。全住民を対象とした調査が2022年から2023年へ延期となったため、その準備のための質問紙ソフト開発やPC,物品等の費用を使わなかった。追跡調査のための人件費は通常通り使用した。2022年は2023年に行う全住民約2700名を対象とした一斉調査へ向けて、質問紙ソフト開発やタッチパネルPCやプリンターの購入、広報活動等の準備のために研究費を使用していく予定である。
|