研究課題
2022年度は、地域住民約2000人の住民健診、および郵送で健康状態のアンケート調査を実施した。生活習慣病や認知症の発症の疑いがあれば、本人への調査や医療機関への調査を行い、症例を会議で検討し診断を確定させた。家族機能と慢性疼痛の関連について、国際疼痛学会で研究成果を発表し、論文化した。また、下記の養育と糖尿病の関連についての研究成果を論文化し、投稿中である。【目的】幼少期の被養育体験は、食行動や生活習慣などに影響を及ぼすと考えられるが、幼少期の被養育体験と成人後の糖尿病の関連を検討した研究はない。本研究では一般住民における幼少期の両親のケアの低下および過干渉と成人後の糖尿病の関連について検討した。【方法】2011年に福岡県久山町の生活習慣病健診を受診し同意の得られた40歳以上の一般住民710人を対象に質問紙調査、身体計測、血液検査を施行した。Parental Bonding Instrumentを用いて16歳までの両親の養育態度を調査し、ケアおよび過干渉のスコアを性年齢層毎に中央値で高低に分け、低ケアおよび高過干渉を“望ましくない養育スタイル”と定義した。糖尿病の診断には75g経口糖負荷試験またはHbA1c (NGSP)値を用いた。【結果】対象者における糖尿病の頻度は14.9%であった。糖尿病を有するオッズ比(多変量調整)は、母親の低ケア群において1.61(対 高ケア群)、母親または父親の高過干渉群において それぞれ1.73、1.71(対 低過干渉群)と有意に高かった(全P <0.05)。【結論】幼少期の低ケア・過干渉な被養育体験は、成人後の糖尿病を有するリスクを上昇させていた。幼少期の養育環境の改善は、将来の糖尿病を予防する上で重要であることが示唆される。
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