研究課題/領域番号 |
19K07891
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
池田 義之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00573023)
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研究分担者 |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
赤崎 雄一 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (00631920)
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フレイル / サルコペニア / ミトコンドリア / マクロファージ / オートファジー |
研究実績の概要 |
脂質異常症モデルマウスのApoEノックアウト(KO)マウスと野生型(C57BL6)マウスとで以下を検討した。1)筋力の計測:野生型と比較しApoE KOでは筋力が低値であった。その傾向は加齢とともにより顕著であった。2)筋肉量の計測:下肢筋の重量も上記筋肉量と同様に、野生型と比較しApoE KOで低値であった。その傾向は加齢とともにより顕著であった。3)免疫組織化学染色を行ったところ、ApoE KOマウスではFRβ陽性マクロファージが認められた。4)ApoE KOマウスでは筋肉にAGEが蓄積していた。5)ミトコンドリア機能を比較したところ、野生型と比較しApoE KOでミトコンドリア機能(ATP産生能)は低値であり、酸化ストレス(H2O2産生)は高値であった。以上より、脂質異常ではより筋肉の障害を来し、その要因として、ミトコンドリア機能障害やFRβ陽性マクロファージの関与が示唆された。今後はこれらミトコンドリア機能障害とFRβ陽性マクロファージがどのように関連しているかについて検討を進めていく。 培養筋肉細胞を用いた検討では、酸化LDLを添加した筋肉細胞ではコントロール刺激のみの筋肉細胞と比較し、ミトコンドリア機能障害(膜電位をJC-1やTMREにて測定)や酸化ストレス(mito-Sox Redにて評価)がより強かった。今後はマクロファージと筋肉細胞を共培養してさらなる研究を進める計画である。 ヒトを対象にした研究では、元々当該講座が実施している地域在住高齢者を対象としたコホート研究において、筋肉量や筋力測定を行い、また採血にて検体採取を行い可溶性FRβの測定を行う研究を計画しているが、このヒト対象研究に関しては後述の通りの事情により現在研究が計画通りに進展していない。今後状況が改善次第、再開していく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞やマウスを用いた基礎実験に関しては概ね順調に研究は進んでいる。しかし、ヒトを対象とした研究に関しては、元々特定検診等の場を利用して各種測定項目を評価し、また検体採取を行う予定であったものの、現在の感染症(Covid-19)に伴う緊急事態宣言に基づき、検診が施行できていないため、予定よりも遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
・検診が開始できるような状況になった際は、予定していた各種検査の評価および検体(血清)採取を行う。 ・上記血清を用いて、可溶性葉酸レセプターβ(sFRβ)を測定する。 ・FRβ陽性マクロファージ(Mφ)と骨格筋細胞を用いた培養実験により、FRβ陽性Mφは骨格筋細胞において、炎症やマイトファジー低下をもたらすか否か評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表(国内二件)の旅費として計画していたものの、新型コロナウイルス感染症に伴に学会が中止となったため、その旅費分が次年度使用分へと持ち越されることとなった。
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