研究課題
基盤研究(C)
①単球選択的VEGFR-3遺伝子欠損マウスを用いた薬剤誘発性肺線維症マウスモデル実験では、VEGFR-3シグナルは肺線維症に保護的に作用した。②単球選択的VEGFR-3遺伝子欠損マウスを用いたリポポリサッカライド(LPS)誘発性肺傷害モデル実験では、VEGFR-3シグナルは急性肺傷害に炎症の抑制と組織修復の促進などの役割が確認された。ヒト急性呼吸窮迫症候群ではマクロファージVEGFR-3細胞外ドメインの翻訳後修飾によりVEGFR-3機能が作用しないことが明らかとなった。
呼吸器病学
特発性肺線維症あるいは急性呼吸窮迫症候群は予後が悪く前者は国の難病に指定されている。現時点のところ保険収載されている治療薬は、前者は抗線維治療薬であり後者は好中球エラスターゼ阻害剤であるが効果が充分ではなく予後の改善に寄与し得ていない。本研究の結果は肺内のマクロファージに発現するVEGFR-3シグナルを指標として肺線維症やヒト急性呼吸窮迫症候群など肺傷害の新たな治療戦略の考案に寄与すると考えられる。