本研究は、参加同意の得られた糖尿病患者を対象に、①認知機能検査の結果と脳ステロール代謝や酸化ストレス等を反映する新規血液バイオマーカーの関連を評価し、②2年間の追跡によって観察される認知機能の変化および血管合併症の進行と関連する指標を探索し、③培養細胞や遺伝子操作マウス、糖尿病モデルマウスを用いて候補分子が認知機能に影響するメカニズムを解明することを目的とする。 令和3年度研究実績の概要としては以下の通りである。 (1) 初年度に論文発表した糖尿病入院患者における糖尿病合併症重症度および認知機能検査と、酸化型アルブミンをはじめとする酸化ストレスマーカーとの関連を評価するフォローアップ研究について、臨床データ収集を行った。(2) 糖尿病と認知機能の関係を探索する新規モデルとして、OMD (Offspring from Mother with Diabetes)モデルを作成解析した。高血糖メス個体から得られた仔の認知機能低下を認めた(共同研究として論文投稿中)。(3) 高齢者を含む糖尿病患者に対してウェブ調査を実施し、服薬アドヒアランスと関連する因子を抽出し、論文発表した。
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