研究課題/領域番号 |
19K07901
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
塚田 弥生 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20301567)
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研究分担者 |
安武 正弘 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (70281433)
清水 渉 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50399606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療ICT / 産業衛生 / 時間循環器学 / ウェアラブルデバイス / 心臓自律神経 |
研究実績の概要 |
2018年まで社会経済活動のグローバル化が進み、海外へ渡航する労働者は増加の一途をたどってきた。2020年予期せぬコロナウイルス感染症の流行のため、海外渡航が著しく制限され、オンラインに切り替えられたが、改めて、直接面談の重要性も見直されている。 近年、シフトワーカーの社会的Jet-lagが心血管疾患の危険因子となることが明らかになった。また、機内での死亡原因の86%は心停止であり、頻回業務渡航者の循環器系の管理を行うことは、産業衛生上重要な課題である。本研究では、海外業務渡航の心血管系―特に心臓自律神経に与える影響を検討することを目的として、民間航空会社の社員を対象に、ウエアラブル電極と生体情報端末による渡航時の心電図記録を実施、心拍変動に影響を与える外的要因について探索的に解明する。また解析された因子を就労管理の指標として、産業衛生の現場に応用することを目標とした。 2019年度は本学と共同研究契約のある民間航空会社の海外出張者を対象に、長期間心電図変化・バイタルサイン等データ収集するための、具体的な研究手順(空港・保安検査場・飛行機内)を確立。2020年は、渡航制限のため地上での機器の検証・運用の見直しを行った。 交代勤務者のリスク評価に関する研究はまだ少なく、特に海外へ業務渡航者に関する研究は、研究上の制約のため、少数例の報告のみである。一方、国内外でウエアラブルデバイスの開発は進んでおり、時計型やパッチ型など様々な携帯型端末が開発され研究が進められているが、医療用で精度が高い計測機器は限定されている。商用と医療用の機器の使い分けは今後の課題であろう。 本研究の結果予測因子が解析されれば、様々な背景の渡航者の搭乗中の心事故発生の予防に繋がることが期待される。また、産業衛生学領域のみならず、IT技術を用いた計測システムの臨床応用の面からも新しい知見を付加することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外渡航者に機器を持ち込む手順を確立するため、研究協力者に装着し、現場(空港・保安検査場・飛行機内)での試験的に運用を行った。保安検査場での手続きも整い、機内での記録を確認し、対象者の募集を2020年2月から行う予定であった。 しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の蔓延により、海外渡航は全面的に禁止になり、プロトコールの見直しが迫られた。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航再開までの期間、地上でプロトコルの検証、機器の動作確認等を行った。 しかし、研究予定期間に短期間の海外業務渡航者の記録は望めないため、対象者をコロナ禍でも大会に参加する契約スポーツ社員へ変更を検討し、現地到着時のパフォーマンスとの関連も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染所の蔓延のため、業務渡航が中止され、研究は大きな変更が余儀なくされた。現在、渡航再開後にすぐに研究が始められるように、研究環境を整えている。
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