研究実績の概要 |
Neurovascular unit (NVU)障害および神経炎症とアルツハイマー病(AD; Alzheimer’s Disease)の関連を明らかにするため,preclinical AD,MCI due to ADを対象として血漿・脳脊髄液中のNVU障害マーカー・炎症性サイトカイン,PiB-PETによる脳内アミロイド蓄積,FDG-PETによる脳糖代謝量,3.0T-MRIによる大脳白質病変の解析を行った.この結果,①MCI due to ADでは,脳脊髄液中の炎症性サイトカイン(macrophage inflammatory protein-1β; MIP-1β ,stem cell growth factor-β; SCGF-β,Adiponectin) が増加する,MIP-1βとSCGF-βは脳内アミロイド蓄積量と相関し,Adiponectinは脳糖代謝量と相関する,②MCI due to ADでは,血漿・脳脊髄液中のNVU障害マーカー (matrix metalloproteinases; MMPs,tissue inhibitor of metalloproteinases; TIMPs) が変化しており,脳内アミロイド蓄積量や大脳白質病変の重症度と相関する,③adenosine triphosphate-sensitive inward rectifier potassium channel-8 (KCNJ8) , von Willebrand factor tissue (vWF) ,protein tyrosine phosphatase receptor type B (PTPRB) , gap junction protein alpha-5 (GJA5)などの新規NVU障害マーカーは脳内アミロイド蓄積量と相関することを明らかにした.これによりNVU障害および神経炎症は,MCI due to AD の段階から脳内アミロイド蓄積や大脳白質病変の形成に関与していることが確実となり,ADの発症予測マーカーやNVU protectionによる脳保護療法という新たな治療法の開発に繋げる。2021年度は、これまでの研究成果としての2報の英語論文を報告した.
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