甲状腺癌の低侵襲術前遺伝子検査法の開発と甲状腺癌リスク評価法の確立

2019 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K07919
• 研究機関: 福島県立医科大学
• 研究代表者: 志村 浩己 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40303416)
• 研究分担者: 岩舘 学 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00381393) ; 松本 佳子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10815145) ; 鈴木 聡 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50381398) ; 伊藤 祐子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60402038) ; 鈴木 眞一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70235951)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 甲状腺癌 / 遺伝子 / 穿刺吸引細胞診

研究実績の概要

本研究においては，甲状腺癌の低侵襲術前遺伝子検査方法の確立とそれを加えたリスク評価法の確立を目的とし，穿刺吸引細胞診検体および流血中のエクソソーム由来DNAとセルフリーDNAから甲状腺癌における変異遺伝子の検出方法を確立するとともに，新たな超音波検査技術である高感度血流評価や組織弾性評価法による超音波画像評価を加え，先進的な甲状腺癌診断およびリスク評価法を樹立することを目指している。令和元年度は，まず，各種甲状腺癌培養細胞を用いた代表的な甲状腺癌の遺伝子変異および甲状腺癌の増殖進展に関連する遺伝子発現量の検査系の確立することを目指し，研究を行った。本研究責任者がすでに継代している甲状腺癌培養細胞を使用して，代表的甲状腺癌の遺伝子変異であるBRAFV600E，TERT promoter変異などをDigital PCR法により野生型と変異遺伝子を同時に検出できる検査系を樹立した。また，TERT遺伝子発現レベルなどの遺伝子発現レベルをReal-time PCR法により検出しうる系を確立した。これらの検査系を用い，甲状腺腫瘍患者の穿刺吸引細胞診の穿刺針中に残存している細胞を回収し，研究に用いるための倫理申請を行った。今後臨床検体を用いた遺伝子分析研究を行うとともに，研究対象者の臨床データを収集・評価を行い，それらの関係性を分析する。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和元年度に予定していた研究はほぼ完了し，臨床検体を用いた研究に移行している。

今後の研究の推進方策

甲状腺腫瘍の穿刺吸引細胞診を実施時に，患者から同意を得た上で，検体作成後の穿刺針を遺伝子回収用の穿刺液で洗浄し，残存している細胞からDNA（あるいはRNA）を週出する。①で確立する遺伝子検査法で，細胞診検体から遺伝子検査を試み，術後の組織診断および摘出組織の遺伝子検査結果と比較を行い，性能評価を行う。さらに，上記研究を行った患者の超音波所見を病理検査結果を明かさない状態で評価を行い(B-mode評価，血流評価，組織弾性評価），血液検査やCT検査などの他の検査結果および術後経過の情報とともにデータベースを樹立する。

研究成果

• [雑誌論文] Investigation of Thyroid Cancer Cases That Were Not Detected in the Thyroid Ultrasound Examination Program of the Fukushima Health Management Survey but Diagnosed at Fukushima Medical University Hospital (2020)
  • 著者名/発表者名: Susumu Yokoya, Manabu Iwadate, Hiroki Shimura, Satoru Suzuki, Takashi Matsuzuka, Satoshi Suzuki, Shigeyuki Murono, Seiji Yasumura, Kenji Kamiya, Yuko Hashimoto, Shin-Ichi Suzuki
  • 雑誌名: Fukushima J Med Sci . 巻: 65-3 ページ: 122-127
  • DOI: 10.5387/fms.2019-26.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 日本乳腺甲状腺超音波医学会 甲状腺超音波ガイド下穿刺専門資格の創設 (2020)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 雑誌名: 日本内分泌外科学会雑誌 巻: 37-1 ページ: 51-54
• [雑誌論文] Absorbed Radiation Doses in the Thyroid as Estimated by UNSCEAR and Subsequent Risk of Childhood Thyroid Cancer Following the Great East Japan Earthquake (2020)
  • 著者名/発表者名: Tetsuya Ohira, Hiroki Shimura, Fumikazu Hayashi, Masanori Nagao, Seiji Yasumura, Hideto Takahashi, Satoru Suzuki, Takashi Matsuzuka, Satoshi Suzuki, Manabu Iwadate, Tetsuo Ishikawa, Akira Sakai, Shinichi Suzuki, Kenneth E Nollet, Susumu Yokoya, Hitoshi Ohto, Kenji Kamiya, Fukushima Health Management Survey Group
  • 雑誌名: J Radiat Res . 巻: 61-2 ページ: 243-248
  • DOI: 10.1093/jrr/rrz104.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Factors influencing the proportion of non-examinees in the Fukushima Health Management Survey for childhood and adolescent thyroid cancer: Results from the baseline survey. (2019)
  • 著者名/発表者名: Takahashi K, Takahashi H, Nakaya Y, Yasumura S, Ohira T, Ohto H, Otsuru A, Midorikawa S, Suzuki S, Shimura H, Yamashita S, Tanigawa K, Kamiya K
  • 雑誌名: J Epidemiol 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.2188/jea.JE20180247.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Dectin-2-mediated signaling triggered by the cell wall polysaccharides of Cryptcoccus neoformans (2019)
  • 著者名/発表者名: Daiki Tanno, Rin Yokoyama, Kotone Kawamura, Yuki Kitai, Xiaoliang Yuan, Keiko Ishii, Magdia De Jesus, Hideki Yamamoto, Ko Sato, Tomomitsu Miyasaka, Hiroki Shimura, Nobuyuki Shibata, Yoshiyuki Adachi, Naohito Ohno, Sho Yamasaki, Kazuyoshi Kawakami
  • 雑誌名: Microbiology and Immunology 巻: 63 ページ: 500-512
  • DOI: 10.1111/1348-0421.12746
  • 査読あり
• [雑誌論文] External Radiation Dose, Obesity, and Risk of Childhood Thyroid Cancer After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: The Fukushima Health Managemento Survey. (2019)
  • 著者名/発表者名: Ohira Tetsuya, Ohtsuru Akira, Midorikawa Sanae, Takahashi H, Yasumura Seiji, Suzuki Satoru, Matsuzuka Takashi, Shimura Hiroki, Ishimawa T, Sakai A, Suzuki Shinichi, Yamashita Shunichi, Yokoya S, Tanigawa K, Ohto Hitoshi, Kamiya K, Fukushima Health Management Survey group.
  • 雑誌名: Epidemiology 巻: 30-6 ページ: 853-860
  • DOI: 10.1097/EDE.0000000000001058.
  • 査読あり
• [学会発表] 福島県県民健康調査「甲状腺検査」からみえてきた小児・若年者の結節性甲状腺疾患の実像 (2020)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第12回神奈川臨床甲状腺研究会学術講演会
  • 招待講演
• [学会発表] セッション2「小児・若年者における甲状腺がんの特徴と甲状腺結節の取り扱い」2.3甲状腺検査における結節の取扱い (2020)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第2回福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター主催国際シンポジウム
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 福島県県民健康調査「甲状腺検査」のこれまでの歩みとこれからの課題 Current progress and future of Thyroid Ultrasound Examination inFukushima Health Management Survey (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第92回日本内分泌学会学術総会
  • 招待講演
• [学会発表] TTF-1非発現甲状腺癌細胞の細胞死誘導におけるARG2遺伝子の役割 (2019)
  • 著者名/発表者名: 伊藤祐子, 古屋文彦, 滝克己, 志村浩己
  • 学会等名: 第92回日本内分泌学会学術集会
• [学会発表] 自律性機能性甲状腺結節の超音波診断 (2019)
  • 著者名/発表者名: 松本佳子, 大河内千代, 岩館学, 鈴木聡, 中野恵一, 中村泉, 福島俊彦, 伊藤祐子, 志村浩己, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第42回乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 小児における各甲状腺超音波所見の疫学 (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第42回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 甲状腺結節血流評価の多施設研究 (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩館学, 志村浩己, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第42回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 甲状腺結節の鑑別診断対する超音波組織弾性評価の歴史的変遷とその有用性について (2019)
  • 著者名/発表者名: 鈴木眞一, 岩館学, 松本佳子, 鈴木聡, 大河内千代, 中野恵一, 中村泉, 福島俊彦, 志村浩己
  • 学会等名: 第42回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 機能性甲状腺結節による潜在性甲状腺機能亢進症の内科的リスク (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第42回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] Nocardia属菌の迅速菌種同定法と薬剤感受性試験 (2019)
  • 著者名/発表者名: 大花昇, 豊川真弘, 山寺幸雄, 志村浩己
  • 学会等名: 第51回日本臨床検査医学会東北支部総会
• [学会発表] 日常よく遭遇する疾患シリーズ第３回[甲状腺嚢胞性病変] 甲状腺嚢胞性病変の超音波画像 (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩館学, 松本佳子, 長谷川翔, 鈴木聡, 水沼廣, 中野恵一, 中村泉, 福島俊彦, 志村浩己, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 診療支援を目指した超音波検査体制の構築 (2019)
  • 著者名/発表者名: 松田美津子, 山寺幸雄, 志村浩己
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 福島県県民健康調査「甲状腺検査」へのJABTSの貢献 (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
  • 招待講演
• [学会発表] 超音波診断装置におけるプローブ間差と機器間差の検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 西山翔子, 高橋智里, 黒須由美子, 佐藤吉子, 長嶺夏希, 坂上敏江, 佐藤綾子, 山谷幸恵, 鈴木英明, 堀越裕子, 大石学, 鈴木聡, 岩館学, 松塚崇, 鈴木悟, 鈴木眞一, 志村浩己
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 超音波診断装置におけるプローブの経時的変化 (2019)
  • 著者名/発表者名: 高橋智里, 黒須由美子, 西山翔子, 佐藤綾子, 長嶺夏希, 山谷幸恵, 坂上敏江, 佐藤吉子, 鈴木英明, 堀越裕子, 大石学, 鈴木聡, 岩館学, 松塚崇, 鈴木悟, 鈴木眞一, 志村浩己
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 福島県甲状腺超音波検査サポートの評価結果とその改善点 (2019)
  • 著者名/発表者名: 佐藤綾子, 坂上敏江, 高橋智里, 黒須由美子, 大石学, 堀越裕子, 岩館学, 鈴木聡, 松塚崇, 鈴木悟, 鈴木眞一, 志村浩己
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 甲状腺疾患におけるshear wave elastograhy (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩館学, 松本佳子, 長谷川翔, 鈴木聡, 水沼廣, 中野恵一, 中村泉, 福島俊彦, 志村浩己, 鈴木眞一
  • 学会等名: 第43回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会
• [学会発表] 福島県県民健康調査「甲状腺検査」の二次検査における穿刺吸引細胞診の実施率の解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己, 松塚崇, 鈴木悟, 鈴木聡, 岩館学, 緑川早苗, 大津留晶, 横谷進, 大平哲也, 安村誠司, 大戸斉, 鈴木眞一, 神谷研二
  • 学会等名: 第62回日本甲状腺学会学術集会
• [学会発表] Management of thyroid nodules in children and adolescents based on the Japanese guidelines for thyroid nodules: The Fukushima Health Management Survey (2019)
  • 著者名/発表者名: Hiroki Shimura, Takashi Matsuzuka, Satoru Suzuki, Satoshi Suzuki, Manabu Iwadate, Sanae Midorikawa, Akira Ohtsuru, Susumu Yokoya, Tetsuya Ohira, Seiji Yasumura, Shinichi Suzuki, Hitoshi Ohto, Kenji Kamiya
  • 学会等名: 89th ANNUAL MEETING OF THE American Thyroid Association
  • 国際学会
• [学会発表] 甲状腺検査データの読み方 (2019)
  • 著者名/発表者名: 志村浩己
  • 学会等名: FUJIREBIO Forum 2019
  • 招待講演
• [学会発表] Shear Waveで経過観察し得た急性肝炎の２例 (2019)
  • 著者名/発表者名: 石橋伸治, 松田美津子, 幕田倫子, 岡井研, 阿部和道, 山寺幸雄, 志村浩己
  • 学会等名: 第66回日本臨床検査医学会学術集会