研究課題/領域番号 |
19K07924
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
水嶋 章郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (80229690)
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研究分担者 |
水嶋 しのぶ 順天堂大学, 医学部, 助手 (50327798)
山口 琢児 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50816741)
奥野 滋子 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (80317370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ストレス / ウエアラブルデバイス / 唾液 / 緩和ケア / アグリヒーリング / メンタルヘルス / 自律神経 / オキシトシン |
研究実績の概要 |
本研究では「都市生活者にとって有効なストレス緩和の方法論提示」を目的として、ウェアラブルデバイス(Tシャツ型バイタルセンサー)を活用したストレスの定量化メソッドを検証する。特にストレスケアの手法としての園芸療法に注目し、園芸体験が現代社会における心身の健康損失の軽減に寄与する可能性について検証する。ウェアラブルデバイスによるストレスの定量化および可視化の具体的な体系を構築する。唾液中コルチゾール、クロモグラニンA等のストレス成分、オキシトシン等の抗ストレス成分解析と自律神経、質問紙による気分アンケート(POMS2)を用いた農作業ストレスの計測方法を適用し、ここにウェアラブルデバイスによる自律神経の計測技術を適用する。さらに唾液中ストレス成分の変化と自律神経の相関性を抽出し、効果的な指標群を作成する。 本年度は80事例を検討し、唾液成分分析や質問紙による気分アンケートから確認されたストレス緩和効果とウエアラブルデバイスによる自律神経解析の有用性を学会発表した。 さらに、新たに80例規模の追加実証について倫理委員会の承認を得た。この検証により(ⅰ)自律神経と唾液中ホルモン計測でストレス軽減を明確に定量化する。(ⅱ)自律神経系とホルモンとの相関性でストレス状態や幸福度の指数化を目指す。(ⅲ)ストレス状態を定量的かつリアルタイムで計測するためのウェアラブルデバイスを投入する事でストレスの可視化が汎用的に活用される将来的なメンタルヘルス予防構造を提示する。 本研究が導き出す将来像の提示として、園芸作業のストレスケア運用モデル構築を図る。新たな「アグリヒーリング」ともいえる都市ストレスの緩和概念を提唱し、科学的エビデンスに基づいて医農連携によるストレスケアについて検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
唾液中コルチゾール、クロモグラニンA等のストレス成分、オキシトシン等の抗ストレス成分解析と質問紙を用いた気分アンケート(POMS2)から園芸作業ストレスの計測方法を適用した。ウエアラブルデバイスから得た自律神経成分を検討に追加した。 これらの結果から、園芸作業体験はストレス軽減に有用であることが示唆された。各因子間の相関については今後の検討を重ねていく事とした。今回確認された唾液成分、自律神経機能およびPOMS2項目との相関を足掛かりとし、対象者の背景情報も踏まえながら検討を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
事例数を追加するための新たな実証計画を策定し学内倫理委員会の承認を得た。園芸作業の諸条件に合わせたストレス緩和効果を継続して測定する準備は整っている。新型コロナ感染症に伴う行動制限が解除された後、追加の園芸作業に関するフィールドワークを開始していく。 先行実証により確認した唾液中コルチゾール、クロモグラニンA等のストレス成分、オキシトシン等の抗ストレス成分解析と自律神経、気分アンケート(POMS2)を用いた農作業ストレスの計測方法を適用し、ここにウェアラブルデバイス(Tシャツ型バイタルセンサー)による自律神経の計測技術を適用する。唾液中ストレス成分の変化と自律神経の相関性を抽出し、効果的な指標群を作成する。 ウエアラブルデバイス(Tシャツ型バイタルセンサー)については計測実用性を高めるべく、解析確実性、着心地等の所感についても関連企業との情報交換を行う。 また、特に企業労働者向けの運用をシュミレーションし、この条件に基づいた園芸体験プログラムの模擬実践とストレス計測の実施を行う。医学的な実証データを蓄積し、科学的エビデンスに基づいて医農連携によるストレスケアについて検証する。併せて、新たな医福農連携領域としての都市ストレスの緩和概念を提唱し、身体的、精神的困難を緩和する全人的緩和ケアアプローチを「アグリヒーリング」という集学的な位相に結論付ける。
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